【カルシウム】と一緒に摂取すべき栄養素って?
1.はじめに
骨の健康を保つことで名高いカルシウムは、そのほかにもさまざまな働きを担っています。
健康に不可欠なカルシウムですが、実は日本人がどの世代においても不足している栄養素でもあります。
そんなカルシウムを効率よく摂り、働かせるために一緒に摂取すべき栄養素をご紹介します。
2.カルシウムの働きをサポートする栄養素
ただでさえ不足しがちなカルシウムですが、摂取したカルシウムがすべて体内に吸収されるわけではありません。
その吸収率は、食品にもよりますが、だいたい20~40%です。
吸収率が良いとされている牛乳でさえ、50%ほどです。
そんなカルシウムの吸収率を高め、体内で働きをサポートする栄養素を紹介します。
ビタミンDは活性型ビタミンDという形に変わり、腸でのカルシウムの吸収を促進します。
また、骨への沈着をサポートします。
活性型ビタミンDは日光に当たることで生成されます。
1日に顔と手のひら2つ分の面積を15分程度、日に当たると良いといわれています。
アミノ酸の一種である「アルギニン」や「リジン」は、カルシウムの吸収を促進する働きがあります。
牛乳の主要なタンパク質であるカゼインを酵素分解してできる物質です。
カルシウムを溶けやすい状態に変え、吸収を助けます。
骨の骨芽細胞に働きかけ、骨の中に入るカルシウムの量を調節します。
マグネシウムが不足すると、それを補うために骨や歯の貯蔵分が溶けだします。
その際、マグネシウムの約5倍のカルシウムが溶け出してしまいます。
カルシウムとマグネシウムはバランスよく摂ることが大切です。
カルシウム2に対してマグネシウム1が理想のバランスです。
クエン酸には、ミネラルを包みこんで吸収させる働きがあります。これを「キレート作用」といいます。
ご紹介した栄養素を一緒に摂ることに加え、カルシウムは摂り方にも注意が必要です。
カルシウムは、一気に多量に摂取すると、吸収率が下がり、多くが排泄されてしまいます。
そのため、こまめに摂ることが大切です。
毎食、またはそれに加えて間食としてカルシウムが多い食品を摂取すると、効率良く摂ることができます。
3.一緒に食べると良い食材
前の項で解説した栄養素を多く含む食品にはどんなものがあるでしょうか?
●カルシウムと一緒に食べると良い食材
ビタミンD | 鮭、さんま、しらす、きくらげ、干ししいたけなど |
アミノ酸(アルギニン・リジン) | 鶏肉、大豆、高野豆腐、ゴマ、ナッツ、牛乳、チーズなど |
CPP(カゼインホスホペプチド) | 牛乳などの乳製品に含まれるカゼインから生成される物質。最近ではCPPを含む食品、サプリメントなどが販売されています |
マグネシウム | 納豆、きなこ、ししゃも、桜エビ、しらす、あさり、はまぐり、枝豆など |
クエン酸 | レモン、グレープフルーツ、キウイ、梅干し、お酢など |
カルシウムを多く含む食品に、働きをサポートする栄養素が含まれていることが多いことがわかります。食べ物はうまくできていますね。
4.一緒に摂ることを避けた方が良い食材
カルシウムが多く含まれる食品を摂る機会が少ないと不足してしまうのは当然ですが、それ以外にも、せっかく摂取したカルシウムがうまく吸収されなかったり、上手く働かないことでも、不足につながってしまいます。
カルシウムの吸収を阻害する働きがあり、一緒に摂ることを避けた方が良い栄養素と、多く含まれる食材は次のとおりです。
インスタント食品やスナック菓子、冷凍食品、清涼飲料水などに保存料として多く含まれています。
日本人はカルシウムの摂取が少なく、リンの摂取が多い傾向があるので、注意が必要です。
ホウレン草、たけのこ、チョコレート、ココア、紅茶などに多く含まれます。
シュウ酸がカルシウムと結合すると、腸から吸収されずにそのまま排出されてしまいます。
過度なアルコール摂取は、カルシウムの吸収を助ける胃酸や酵素の分泌を低下させてしまといます。
健康な身体を作るために必要な食物繊維ですが、過剰に摂りすぎると、カルシウムをはじめとするミネラルの吸収を阻害する場合があります。
穀類や海藻類、野菜に含まれる不溶性食物繊維にはそのような働きがあるため、食事で摂取する程度では問題がありませんが、サプリメントや栄養補助食品などで補う場合には一緒に摂ることは避け、2時間ほどあけるようにしましょう。
5.最後に
吸収を阻害する可能性がある食品を紹介しましたが、その食品自体が悪いのではなく、その食品ばかりを過度に摂取したり、続けて摂ることが悪影響につながるのです。
バランスの良い食事のひとつとして、さまざまな食材を摂ることを心がけるようにしましょう。
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※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:管理栄養士 山本ともよ ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
株式会社とらうべ所属
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山本ともよ

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この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 管理栄養士(121)
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