【管理栄養士が解説!】オメガ3脂肪酸の効果って?
1.はじめに
オメガ3脂肪酸は、近年の健康ブームで注目されている油の一種です。
「亜麻仁油」や「しそ油」などの名前を耳にしたことがある方も多いでしょう。
このオメガ3脂肪酸を摂ると何が良いのでしょうか?詳しく説明していきます。
2.オメガ3脂肪酸とは
脂肪酸とは、脂質の構造を表す言葉です。
構造の違いによってさまざまな種類があり、体内での働きも異なります。
このうち、二重結合がある脂肪酸を不飽和脂肪酸といいます。
さらに、不飽和脂肪酸のうち二重結合が2つ以上あるものを「多価不飽和脂肪酸」といいます。
オメガ3脂肪酸は多価不飽和脂肪酸のひとつで、その構造から、酸化しやすいのが特徴です。
DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、αリノレン酸などがこれに当たり、体内で作ることができない必須脂肪酸のため、食べ物から摂取しなければいけません。

★オメガ3脂肪酸
多価不飽和脂肪酸で、DHA、EPA、αリノレン酸など
3.オメガ3脂肪酸の効果
オメガ3脂肪酸にはさまざまな効果が期待されています。
●血液をキレイにする
DHAには、血管壁の細胞膜や赤血球の細胞膜を柔らかくし、血流を改善する効果があります。
また、EPAには強力な血小板の凝集を抑制する効果があります。
これによって、血液中の塊となる血栓を作りにくくし、血液をきれいにします。
●記憶力、判断力を向上する
DHAは、脳を構成する約140億個の脳細胞の膜に存在します。
とくに記憶や学習能力を担う「海馬」というところに多く集中しています。
細胞膜を柔らかくすることで、神経細胞や神経伝達物質が活性化され、情報伝達がスムーズに行われます。
DHAを3週間摂り続けた結果、記憶力が高まったという実験結果も報告されています。
●アルツハイマー型認知症の進行予防
アルツハイマー型認知症は、脳の神経細胞が壊死して萎縮していく病気です。
DHAは神経細胞を修復し、残った神経細胞の働きを助けます。
●視力を維持する
DHAは網膜や視神経の細胞壁にも多く含まれていて、正常な目の働きのために欠かせない成分です。
●炎症やアレルギーの抑制
オメガ3脂肪酸を摂ると、「炎症やアレルギーを抑制するプログスタンジン」が作られます。
また、「炎症を起こすプロスタグランジン」の合成を抑える働きもあります。
●美容効果
オメガ3脂肪酸は、粘膜や皮膚、髪や爪の組織にも分布しています。
血流を良くする働きによって栄養素や酸素をしっかり届け、肌荒れや粘膜の炎症を抑えるのに働きます。
また、肌のターンオーバー(新陳代謝)を促します。
4.オメガ3脂肪酸は1日にどのくらい取ったら良い?
「日本人の食事摂取基準2015年版」によると、オメガ3脂肪酸の1日あたりの目安量は、30~40代男性で2.1g、30~40代女性で1.6gとされています。
小さじ1杯の油が4gですから、とても少ないと感じるかもしれません。
しかし、実際に食品からオメガ3脂肪酸を摂取するのは大変なことです。
たとえば、脂は皮と身の間に多く分布していますが、皮つきの鯖に含まれる量は味噌煮1切で1.7gですし、皮を剥いだ鯵のお刺身の場合は20枚くらい食べる必要があります。
毎日と考えると、その難しさがおわかりいただけるでしょう。

●オメガ3脂肪酸の1日の摂取量
・30~40代男性:2.1g
・30~40代女性:1.6g
5.オメガ3脂肪酸を含む食品
オメガ3脂肪酸は、青魚をはじめとした魚介類の脂、えごま油、亜麻仁油、シソ油、くるみ、豆類などに含まれます。
多く含む食品と含有量は次のとおりです。
●オメガ3脂肪酸を多く含む食品
ブリ1切 | 2.7 g |
サンマ1匹 | 3.8 g |
アジ刺身5切れ | 0.5 g |
マサバ1切 | 1.7 g |
マグロ(赤身)5切 | 0.1g |
マグロ(脂身)刺身5切 | 3.0g |
亜麻仁油小さじ1 | 2.3g |
えごま油小さじ1 | 2.3g |
くるみ4粒 | 1.6g |
納豆1パック | 0.3g |
6.オメガ3脂肪酸を効果的に摂るポイント
オメガ3脂肪酸は酸化しやすいのが特徴です。
酸化すると、本来の働きができずに効果が下がってしまいます。
できるだけ酸化させずに摂る方法をご紹介します。
●鮮度が高いものを選ぶ
DHA・EPAは魚介類に多く含まれます。
時間が経ち、酸素に触れると酸化が進んでしまうため、できるだけ新鮮なものを選ぶようにしましょう。
●酸化しにくい容器を選ぶ
亜麻仁油やえごま油は遮光したビンに入れてあるものを買い、冷蔵庫で保管しましょう。
くるみなどのナッツ類も、真空パックの袋や遮光できるビンに移し替えましょう。
できるだけ少ない量で買い、早く使い切ることも大切です。
●抗酸化作用のある食品を一緒に摂る
ビタミンC、ビタミンE、リコピン、クエン酸などには強い抗酸化作用があります。
柑橘類や色の濃い野菜に多く含まれますので、それらと一緒に摂ると酸化を防ぐことができます。
また、オメガ3脂肪酸は油です。
油を落としてしまうと摂取量が減ってしまいます。
焼き魚では約20%、揚げ物では約50%減少するため、油を落とす料理は量を多めに食べるとよいでしょう。
また、ホイル焼きにして魚油も一緒に食べるのも良いですね。
7.最後に
油というと悪者のイメージがあるかもしれませんが、オメガ3脂肪酸は身体にいい働きをしてくれる油です。
積極的に摂ることを心がけてください。
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※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:管理栄養士 山本ともよ ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
株式会社とらうべ所属
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山本ともよ

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この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 管理栄養士(121)
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