【管理栄養士が解説!】食物繊維にも種類がある?!おすすめの食べ物は?
1.はじめに
かつては「栄養にならない、いらないもの」とされていた食物繊維。
今日ではその機能性が評価され、健康維持やダイエットに欠かせない栄養素として注目されています。
食物繊維には種類があり、摂り方によっては逆効果になってしまうことも。
食物繊維の種類を理解し、上手に使い分けながら摂る方法を知りましょう。
2.食物繊維とは?
食物繊維はヒトが体内の消化酵素で消化できない栄養素です。
つまり、消化吸収されることなく体外に排出されるのです。
この性質から、かつては不要物とされていましたが、消化吸収されなくても、消化管においてさまざまな効果を発揮することから、その機能が注目されています。
食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があります。
●水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は水に溶ける食物繊維です。
水分を保持する力が強く、水に溶けるとドロドロのゲル状に変化します。
この粘性がさまざまな効果を発揮します。
★水溶性食物繊維の効果
- 糖質の消化吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇を防ぐ
- コレステロールなどの余分な脂質を吸着し排出する
- 腸の善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える

●水溶性食物繊維が多く含まれる食品
オクラ、山芋、明日葉、海藻類、ごぼう、納豆、アボカド 等
●不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は、水に溶けず、水分を含むと大きく膨らむ性質を持ちます。
この膨張性がさまざまな効果を発揮します。
★不溶性食物繊維の効果
- 便のかさを増し腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を促し便秘の予防改善に働く
- 身体に有毒なダイオキシンなどの物質を排泄する

●不溶性食物繊維が多く含まれる食品
ひよこ豆、あずき、おから、えのき、切り干し大根、小麦ふすま、アーモンド 等
一口に食物繊維といっても、それぞれの働きには違いがあることがわかります。
3.食物繊維の摂取量
ファーストフードや洋食が増え、食生活が欧米化したことで、日本人の食物繊維摂取量は減少傾向にあります。
「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、18歳以上の女性1日あたりの目標量は18g以上、男性では20g以上とされています。

●食物繊維の目標摂取量
女性:18g/1日
男性:20g/1日
では、実際の摂取量はどうでしょうか?
平成28年度「国民健康・栄養調査」では、20~40代の摂取量は13gに満たないという結果が出ています。
つまり、女性では5g、男性では7gも不足しているのです。
今日の食生活では、意識的に食物繊維を摂り入れなければ十分な量を摂取できないのです。
なお、食物繊維の種類では、水溶性:不溶性は1:2程度のバランスが理想的です。
水溶性か不溶性かを確認して食事をすることは難しいですが、多くの食品中には両方の食物繊維が含まれており、水溶性に比べ不溶性が多く含まれることがほとんどです。
野菜、海藻、きのこ、果物、豆製品を1日の食事で満遍なく摂るとおおよそ理想のバランスに近づくことができます。
4.上手な摂り方のポイント・おすすめの食べ物
慢性的な食物繊維不足を補うために、上手な摂り方のポイントをご紹介します。
●上手な摂り方のポイント
- 欠食をしない
1日に必要な量が多くても、3回に分ければ1回はそれほどハードルが高くないでしょう。
反対に、欠食をすると1度に摂るべき量がとても多くなり、目標量をクリアするのはとても難しくなります。
- 1食でバランスよく
バランスを整える方法をあまり難しく考える必要はありません。
主食(ご飯・パン・麺類など)、主菜(肉・魚・卵・大豆製品)、副菜(野菜・海藻・きのこ)をそろえましょう。
定食スタイルであればベストですが、例えば丼物でも野菜が豊富なものであれば、主食(ご飯)、主菜(メインの具材)、副菜(野菜)がそろいます。
このように3つの要素をそろえ、副菜の野菜は生であれば両手いっぱい、加熱であれば片手いっぱいを目安に摂ることを意識すると良いでしょう。
- 主食をきちんと摂る
ここ最近主食を摂らない食事スタイルをとる人が増えています。
主食は食物繊維を摂る重要な役割があります。
たとえば、ご飯1杯(180g)の食物繊維は0.5g。
これは、レタスサラダ1食分(60g)とほぼ同じです。
さらにご飯を胚芽米にすると、食物繊維量は1.4gと倍以上になります。
- 目的に応じて食品を選ぶ
バランスの良い食事を心がけた上で、自分の期待する目的に応じて水溶性・不溶性それぞれの含有量が多い食品を使い分けて積極的に摂り入れましょう。
●おすすめの食べ方
手軽に食物繊維が摂れる食べ物を紹介します。カッコ内は食品の分量と食物繊維の量です。
水溶性と不溶性がバランス良く含まれ、調理の必要がなく手軽です。
大豆の一種ですが野菜に区分され、食物繊維はもちろん、ビタミン・ミネラルも豊富です。コンビニでも手に入ります。
間食におすすめです。コンビニでも小分けのものが売っていますし、乾燥しているので持ち運びにも便利です。
食物繊維を摂る際には、水分を一緒に摂ることが効果を高めます。バランスのとれた食事と十分な水分補給を心がた上で、意識的に食物繊維を摂りましょう。
※この記事を執筆いただいた専門家の方
執筆:管理栄養士 山本ともよ
株式会社とらうべ所属
ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。
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