【管理栄養士が解説】葉酸の基礎知識!葉酸って何?
1.はじめに
健康な身体を作るだけでなく、胎児にとっても重要な葉酸。
誰にでもバランス良く摂ってもらいたい栄養素ですが、ライフステージによって摂り方が異なります。
上手に摂るためにも、どんな栄養素なのか、詳しく解説します。
2.そもそも葉酸って?
葉酸はビタミンB群のひとつで、ホウレンソウから発見されました。
ビタミンM、ビタミンB9、プテロイルグルタミン酸などとも呼ばれていましたが、緑の葉に多く含まれることから、現在では「葉酸」と呼ばれています。
葉酸はさまざまな食品に含まれていますが、とくに多いのはブロッコリー、モロヘイヤ、ほうれん草、枝豆など色の濃い野菜や、いちご、アボカドなどの果物、納豆、レバーなどです。
3.葉酸には種類がある!
葉酸には、次の2種類があります。
●ポリグルタミン酸型葉酸
食品に含まれるそのままの葉酸。体内での吸収率は50%以下。
●モノグルタミン型葉酸
サプリメントや強化食品など添加するために合成された葉酸。体内での吸収率は85%と高い。
つまり、葉酸は食品で摂るよりも、サプリメントで葉酸を摂取した方が生体利用効率が良いといえます。
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4.葉酸の体内での働き
葉酸には、細胞の核酸の合成をサポートする重要な役割があります。
細胞が作られるのに関わっている葉酸は、体内の至るところで重要な働きをしています。
ここでは、とくに重要な働きを紹介します。
●赤血球の形成
葉酸は、血液の成分である赤血球の形成に関わっています。
そのため、葉酸が不足すると、巨赤芽球性貧血という悪性の貧血がみられます。
また、葉酸の働きをサポートしているビタミンB12が欠乏した場合も、同じように貧血の症状がみられます。
●胎児の発育
胎児が発育するときには細胞分裂がさかんに行われます。
とくに妊娠初期に葉酸が不足すると、胎児の神経管の発育がうまくいかなくなる「神経管閉鎖障害」のリスクが高まることがわかっています。
そのため、2000年頃から、厚生労働省では「妊娠を計画している女性や妊娠の可能性がある女性は、神経管閉鎖障害のリスクの低減のために、食事に加えてモノグルタミン酸型葉酸を400μg/日の摂取すること」を推奨しています。
●生活習慣病の予防
葉酸は、生活習慣病の危険因子とされている「ホモシステイン」というアミノ酸を身体に害のない形に変換する反応に関わっています。
そのため、葉酸が不足するとホモシステインの血中濃度が上がり、生活習慣病のリスクを高めるといわれています。
この反応には葉酸のほかにビタミンB12、ビタミンB6が必要で、これらを併せて摂取することも重要です。
5.葉酸はどのくらい摂るべき?
「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、成人の場合、1日あたり240μgの葉酸を摂ることが推奨されています。
平成28年度の国民栄養調査では、葉酸摂取量はほとんどの年代で推奨量を満たしていることから、バランスの良い食事をしていれば葉酸が不足することはあまりありません。
けれども、偏食気味の方や、葉酸の吸収を妨げるお酒をよく飲む方は不足する可能性が高くなるので要注意です。
また、妊娠期や授乳期など赤ちゃんの成長のために多くの栄養が必要になる時期には、通常の食事に加えて、妊娠期は240μg、授乳期は100μg追加する必要があります。

●成人の場合→1日あたり:240μg
●妊娠期の場合→1日あたり:480μg
●授乳期の場合→1日あたり:580μg
6.葉酸を摂るときの注意点
●食品から摂る場合
身体にとって重要な役割を多くになっている葉酸ですが、とくに食品に含まれるポリグルタミン酸型には、消化吸収の効率が良くない、熱に弱いなどの特徴もあります。
そのため、葉酸を摂るときには次のことに注意しましょう。
- 加熱調理は短時間に
葉酸は熱に弱く、加熱すると働きが鈍くなってしまいます。
さらに、水溶性ビタミンであることから水に溶けやすく、調理中の損失が多い栄養素です。
そのため、加熱調理は短時間にする、煮汁も一緒に食べるスープや煮込み料理にするなど工夫すると良いでしょう。
また、加熱せずに食べられる果物や納豆は、効率よく葉酸を摂ることができる食材としておすすめです
- 食事中の飲み物を工夫する
葉酸は、体内でほかの食品の影響を受けやすい栄養素です。
たとえば、お酒は体内で葉酸を消費するため、一緒に摂ると葉酸不足につながりやすくなります。
また、緑茶や紅茶、コーヒー、烏龍茶などに含まれる「タンニン」も、葉酸の吸収を妨げてしまいます。
そのため、食事の際はこれらの飲み物を避けると良いでしょう。
●サプリメントなどで補う場合
健康な身体を維持するためには、食生活を見直すことが第一ですが、食生活やライフステージに合わせてサプリメントで補うのもひとつの方法です。
ただし、その場合には摂取量に注意する必要があります。
- 用法・容量を守ろう
サプリメントなどに含まれるモノグルタミン酸型葉酸は、吸収されやすい形であることから、1日あたりの上限値が900~1000μgと定められています。
そのため、用法・用量を守り、上限量を超えないようにしましょう。
※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:管理栄養士 山本ともよ ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
株式会社とらうべ所属
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山本ともよ

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この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 管理栄養士(121)
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