【管理栄養士がお答え!】葉酸サプリ、いつからいつまで飲めばいいの?
1.はじめに
雑誌やインターネットなどでよく見かける葉酸サプリの広告。
「妊活のための」「妊娠中の女性」「赤ちゃんとママのため」など、各ウェブサイトによってさまざまな宣伝文句が使われているため、「葉酸サプリっていつ飲むものなの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、葉酸サプリを飲む時期についてお伝えします。
2.葉酸サプリを飲んだ方がいい人って?
葉酸はビタミンB群のひとつで、細胞の核酸(DNA)が作られるのをサポートする、細胞分裂を促す、赤血球を作るなどの働きがあります。
豚や牛、鶏のレバー、ほうれん草やアスパラガス、いちごや夏みかん、納豆などに含まれているため、バランスのとれた食事をしていれば、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」で推奨されている摂取量(成人の場合、1日240μg)を補うことができます。
ただし例外的に、食事に加えてサプリメントで摂取することを推奨されている人がいます。
それは、妊婦さんや妊活中の女性です。
冒頭で述べたように、葉酸は細胞を作ることにかかわっています。
この働きは、大人はもちろんのこと、お腹の中で活発に細胞分裂をくりかえしながら成長する胎児にとっても、重要なものです。
とくに脳や脊髄のもとになる神経管が作られる上で重要で、妊娠期の中でも生命維持に欠かせない臓器が作られる妊娠初期に十分な葉酸を摂取すると、神経管閉塞障害のリスクを減らせることがわかっています。
このように、葉酸不足を補うことでお腹の赤ちゃんの障害のリスクを減らすことができるため、妊婦さんや妊活中の女性には葉酸を多く摂取することが推奨されているのです。

●葉酸サプリを飲むのが推奨されている人→妊婦さんや妊活中の女性
しかし、中には「食事からだけでは必要量をまかなえないの?」という疑問を持つ方もいることでしょう。
結論からいうと、妊娠中や妊活中は、食事に加えてサプリメントでも摂取する必要があります。
その理由には、葉酸の種類が関係しています。
葉酸には、食品に含まれる「ポリグルタミン酸型葉酸(天然葉酸)」と、サプリなどの加工食品に含まれる「モノグルタミン酸型葉酸(合成葉酸)」があります。
このうちポリグルタミン酸型の葉酸は、体内でモノグルタミン酸型に形を変えてから小腸に吸収されます。
しかし、この過程でさまざまな影響を受けるため、実際に身体に吸収されるのは、食品に含有されている葉酸の50%以下です。
また、ポリグルタミン酸型の葉酸は熱に弱く、加熱調理をすると葉酸の量が減ってしまいまいます。

●ポリグルタミン酸型の葉酸(天然葉酸)
→吸収されるのは含有量の50%以下
→加熱に弱い
さらに、現在のところ、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを下げる効果が認められているのはモノグルタミン酸型の葉酸(合成葉酸)であり、ポリグルタミン酸型の葉酸(天然葉酸)の効果についてはわかっていません。

●モノグルタミン酸型の葉酸(合成葉酸)
→胎児の神経管閉鎖障害のリスクを下げる効果が認められている
つまり、妊婦さんや妊活中の女性が葉酸を摂取する目的(胎児の神経管閉鎖障害のリスクを下げる)を踏まえると、サプリメントでの摂取が必要になってくるのです。
★葉酸サプリを徹底比較!ランキングにしました★
3.葉酸サプリ(モノグルタミン酸型葉酸)を摂取する期間
モノグルタミン酸型葉酸(合成葉酸)は、妊活中や妊娠中に摂ることが推奨されています。
ただし、推奨量は妊娠の時期によって異なります。
食事からの摂取に加えて、妊活中から妊娠3ヶ月までは400μgをサプリメントなどで摂取するようにしましょう。

●食事からの摂取に加えて(240μg)
妊活中~妊娠3ヶ月まではプラスで400μg、サプリメントで摂取しよう
葉酸が妊活中の女性にも推奨されていることから、「葉酸には妊娠の確率を高める効果がある」と信じている方もいるかもしれません。
けれども、妊活中が葉酸を推奨されているのは、妊娠をしやすくするためではなく、妊娠が成立した時期がはっきりと特定できないことが多いからです。
病院などで妊娠が確定できるのは、妊娠5週目以降で、この時期にはすでに胎児の成長は始まっています。
また、ふだんから月経周期が乱れがちな女性の場合は、胎児の成長がかなり進んでから妊娠に気がつくこともあります。
胎児の成長が始まる時期に十分な葉酸が摂取されていることが理想的であることから、妊活中の女性にもサプリメントでの葉酸摂取が推奨されているのです。
4.葉酸サプリを選ぶときのポイントと注意点
葉酸サプリを選ぶときには、次のことをチェックしましょう。
★ポイント6つ
- 合成された葉酸かどうか
- 葉酸の含有量
- GMP認定されているかどうか
- 放射能検査の実施
- 着色料・人口甘味料・保存料・香料無添加
- 葉酸以外に入っていると良い栄養素(ビタミンB6、ビタミンB12等)
★6つのポイントをもっと詳しく★
また、葉酸をサプリメントで摂取する場合は、摂りすぎにも注意が必要です。
葉酸は、水溶性のビタミンのため、必要以上に摂取された分は尿として体外に排出されます。
しかし、まれに葉酸過敏症といって、じんましんやかゆみなどの症状が出ることや、ビタミンB欠乏症の発見を遅らせることがあります。
ですから、決められた用法・用量を守って摂取するようにしてくださいね。
※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:管理栄養士 山本ともよ ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
株式会社とらうべ所属
この記事を読んだ方はこの4つの記事も読んでいます!

山本ともよ

最新記事 by 山本ともよ (全て見る)
- ぎっくり腰になった!その原因や症状、治し方、予防法は? - 2018年5月9日
- 【栄養管理士が解説】DHAとEPAの1日の推奨摂取量は?上限ってあるの? - 2018年4月16日
- 【管理栄養士が解説】下痢が続く…その原因と治し方、予防法は? - 2018年4月16日
この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 管理栄養士(121)
- 健康チョキンTOP
- ≫ 健康食品・健康成分について調べる
- ≫ 葉酸
- ≫ 【管理栄養士がお答え!】葉酸サプリ、いつからいつまで飲めばいいの?