【保健師が解説!】男性も葉酸を飲むべきって本当?!
1.はじめに
「葉酸は女性が摂るべき栄養素、男性は関係ない」と思っている人は意外に多いのではないでしょうか?
たしかに葉酸は、とくに妊活中や妊娠中の女性に意識して飲んでほしいのですが、男性にとっても、重要な栄養素です。
そこで今回は、なぜ葉酸が男性にも必要なのか、解説していきます。
2.葉酸の役割と男性に必要な理由
葉酸には、いくつもの重要な働きがあります。たとえば、細胞の形成に関わる働き。
私たちの細胞内にはDNAなどの核酸がありますが、葉酸はこの核酸を作っています。
また、細胞分裂を促す働きもあり、ヒトが成長する上で欠かせない栄養素といえます。
このような働きは胎児がお母さんのお腹の中で成長する上でとても重要な役割であり、とくに脳や脊髄のもとである神経管の発達に欠かせません。
実際に、葉酸には胎児の神経管閉鎖障害という奇形のリスクを下げる効果が認められています。
このことから、厚生労働省では、妊活中や妊娠初期の女性に対して、食事に加えてサプリメントでの葉酸を摂取するように呼びかけています。
「葉酸は女性が摂った方が良い栄養素」として知られているのは、このためです。
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しかし、だからといって男性は葉酸を摂らなくて良いということではありません。
細胞を作る働きは、胎児だけでなく、大人にとっても必要なものです。
また、葉酸には次のような効果もあります。
●赤血球を作る
葉酸には、ビタミンB12とともに血液の成分である赤血球を作る働きがあります。
葉酸やビタミンB12が不足すると、赤血球になる前の「赤芽球(せきがきゅう)」がうまく成長できずに、酸素を運ぶ機能が低い、あるいは壊れやすい「巨赤芽球」になってしまいます。
その結果、頭痛やめまいといった貧血の症状が現れるようになります。
この葉酸やビタミンB12の不足で起こる貧血を「巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ)」といいます。
貧血ときくと、女性の多いイメージがありますが、巨赤芽球性貧血は男性も発症します。
つまり、貧血を防ぐためにも男性も葉酸を摂る必要があるといえます。
●生活習慣病を予防する
葉酸には、「ホモシステイン」を身体にとって害のないものへ変える働きがあります。
ホモシステインはアミノ酸のひとつで、血中の値が高くなると血栓が作られやすくなります。
すると、血管がつまりやすくなり、生活習慣病のリスクになります。
ですから、生活習慣病を予防するためにも葉酸は必要ということです。
3.男性は葉酸をどのくらい摂れば良い?
「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、成人男性の葉酸の推奨摂取量は、1日あたり240μgです。
では、この摂取量をクリアすることは難しいことなのでしょうか?

●成人男性の葉酸摂取推奨量
1日あたり240μg
平成28年の「国民健康・栄養調査」によると、成人男性の実際の葉酸摂取量は、どの世代でも1日240μgは満たされています。
そのため、とくに偏った食生活を送っていなければ、葉酸の推奨摂取量を満たすことができるといえるでしょう。
ちなみに、年代別に成人の葉酸摂取量を比較すると、若い年代ほど葉酸の摂取量が少ない、という結果になっています。
中でも20代の男性の場合、1日あたりの平均葉酸摂取量が244μgであり、推奨量をなんとかクリアしている数値といえます。
ですから、とくに若い世代ほどバランスのとれた食生活を意識した方が良いでしょう。
4.男性に知ってほしい葉酸の摂り方
葉酸は、牛・豚・鶏のレバー、ほうれん草やアスパラガス、ブロッコリーなどの野菜、いちごや夏みかんなどの果物、卵、納豆、海苔などに多く含まれています。
このような食品を食事に取り入れ、バランスのとれた食事を心がけていれば、葉酸が不足する可能性は少ないといえるでしょう。
また、バランスの良い食事をしていると、ビタミンB6やビタミンB12など、葉酸を体内で効率よく働かせるのに必要な栄養素も摂ることができます。
とはいえ、仕事で忙しい時期などは、食事がおざなりになってしまうこともあるでしょう。
そんなときは、サプリメントを活用するのも方法のひとつです。
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ただし、サプリメントで葉酸を摂取する場合は、摂取量に注意が必要です。
「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、1日あたりの上限量を900~1000μgとしています。

●葉酸1日あたりの上限量
1日あたり900~1,000μg
葉酸自体は水溶性のビタミンであるため、必要以上に摂取しても尿として排出されます。
そのため、食事から摂る場合は大きな心配はいりませんが、サプリメントで大量に摂取した場合は、一時的にじんましんやかゆみなどの副作用が現れることもあるので、注意が必要です
葉酸を上手に摂取する上では、お酒を飲みすぎないこともポイントになります。
アルコールには葉酸の吸収を妨げる作用があるため、せっかく葉酸の多い食品を摂っていても、体内での吸収率が下がってしまう可能性があるからです。
お酒は適量を心がけ、バランスのとれた食事をすることが、葉酸不足を防ぎ、健康カラダづくりにつながるでしょう。
※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:保健師 吉村佑奈 株式会社とらうべ所属 ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
〈参考〉
・「日本人の食事摂取基準(2015年版)」
・平成28年「国民健康・栄養調査」
・http://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/kensa/column/column2015327.html
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吉村由奈

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この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 保健師(25)
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