【注意!】保健師が解説!「葉酸」に副作用はあるの?
1.はじめに
葉酸は、健康な身体づくりや胎児の成長にとって欠かせない栄養素です。
現在では、とくに妊活中や妊娠初期の女性に対して、厚生労働省からサプリメントなどによる葉酸の摂取が推奨されていますが、「妊娠中なのにサプリメントなんか飲んで良いの?」「副作用はないの?」など不安に思っている方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、葉酸に副作用(※)があるのか、について解説します。
※注:副作用とは、医療行為(投薬など)を行ったときに現れる主作用以外の作用のことをいいます。葉酸を含む食材やサプリメントは、いずれも食品であり薬ではないため、厳密には副作用というコトバを使いません。けれども、現在では一般的に「有害な作用」という意味で用いられることも多く、今回はその意味で「副作用」というコトバを用いています。
2.そもそも葉酸の摂取量って?
葉酸はビタミンB群のひとつで、ほかの栄養素と同じように「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の中で摂取推奨量が記載されています。
葉酸の推奨量は年齢や性別によって異なりますが、成人の場合は男女ともに1日あたり240μg摂ることが望ましいとされています。
また、赤ちゃんの発育のためにより多くの栄養を必要とする妊娠中や授乳中は、次のように追加で摂取することが推奨されています。

●妊娠中や授乳中の葉酸摂取量
・妊娠中:480μg(成人の摂取推奨量に240μgを追加)
・授乳中:340μg(成人の摂取推奨量に100μgを追加)
さらに、妊活中や妊娠中の女性には、食事の葉酸摂取に加えて、サプリメントなどの栄養補助食品から追加で1日あたり400μgを摂ることが求められています。
なぜなら、サプリメントなどに含まれる葉酸(モノグルタミン酸型葉酸・合成葉酸)には、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを下げる効果が認められているからです。
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一方で、「日本人の食事摂取基準」には、推奨量だけでなく、モノグルタミン酸型葉酸を摂取する場合の上限量についても、1日あたり900~1000μg(成人の場合)と記載されています。
そのため、葉酸をサプリメントなどで補う場合には、この上限量に注意しながら摂る必要があります。
3.なぜサプリメントでは過剰摂取に注意が必要なの?
葉酸は水溶性のビタミンであり、必要以上に摂ってしまった場合でも、尿として体外に排出されるため、基本的には身体に蓄積して悪い影響を及ぼすということはありません。
また、食品に含まれる葉酸(ポリグルタミン酸型葉酸)は、体内での利用率が50%以下と低いという特性があります。
加えて、熱にも弱く、水に溶けやすいことから、調理の過程でもある程度失われてしまいます。
このような理由から、葉酸を食事から摂る場合は、葉酸を摂りすぎてしまうことはまずないといえるでしょう。
しかし一方で、サプリメントなどから葉酸を摂取する場合には注意が必要です。
サプリメントなどに含まれるモノグルタミン酸型葉酸は、生体吸収率が85%と、ポリグルタミン酸型葉酸に比べてかなり高くなっています。
加えて、調理などの過程を経ずにそのまま摂取されるため、熱などの影響を受けることもありません。
そのため、一時的に体内で過剰状態に陥る可能性があるのです。
ですから、体内での吸収率が高いモノグルタミン酸型葉酸を摂る場合は、食事から摂る場合よりも、摂取量に注意する必要があります。
4.過剰摂取によってどんな影響があるの?
サプリメントなどで過剰に摂取した場合には、次のようなリスクがあるので、注意が必要です。

●葉酸過剰摂取で現れる症状
発熱、じんましん、かゆみ、呼吸障害など
また、ビタミンB12欠乏症の発見が遅れる場合もあります。

●ビタミンB12欠乏症とは
ビタミンB12欠乏症とは、ビタミンB12が不足することで起こる巨赤芽球性貧血(きょせきがせいひんけつ)や疲労感などの症状のことをいいます。
巨赤芽球性貧血は、葉酸もしくはビタミンB12の不足(あるいは両方の不足)によって起こります。
ビタミンB12が欠乏していて葉酸を多く摂っている場合、ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血の発見が遅れる可能性があります。
このようなリスクを避けるためにも、サプリメントなどで葉酸を摂る場合には用法用量を守り、過剰摂取には注意をしましょう。
もちろん、これは妊活中や妊娠中の女性だけに当てはまることでありません。
たとえば、食生活が乱れがちな人など、たとえ妊娠中でなくても、サプリメントなどを活用していれば、過剰摂取によるリスクはともないます。
※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:保健師 吉村佑奈 株式会社とらうべ所属 ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
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吉村由奈

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この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 保健師(25)
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