【助産師が解説!】子どもにも葉酸は摂らせるべきなの?
目次
1.はじめに
子をもつ親にとって「葉酸」は、よく耳にする言葉かもしれません。
妊娠中に葉酸を積極的に摂っていたという女性も少なくないでしょう。
ところで、子どもと一緒に食卓を囲むようになってふと抱く「子どもにも葉酸を摂らせるべき?」という疑問。
改めて葉酸の働きや、子どもの葉酸摂取について考えてみましょう。
2.葉酸の働きとは?
葉酸は、老若男女問わず身体にとって欠かせない栄養素です。
その重要な役割のひとつは、細胞中の核酸(DNAやRNA)を形成することです。
核酸は、遺伝情報のコピーをする場所。
つまり、葉酸はヒトが生命体として存在するために、遺伝子レベルで不可欠な栄養素だということです。
また葉酸には、細胞分裂を促したり、赤血球を作る働きもあります。
さらに、血管を健康に保つ上でも重要な役割を担っています。
2.子どもにとっての葉酸の役割
葉酸の摂取が最も重要視されるのは「胎児期」、つまりお腹の中にいるころです。
なぜなら、受精から妊娠3か月までの間に葉酸をしっかりと摂ることで、妊娠初期に発生する先天性の病気「神経管閉鎖障害(しんけいかんへいさしょうがい)」のリスクを減らせるためです。
しかし、この時期だけ葉酸を摂ればよいということではありません。
細胞は妊娠初期を過ぎてもどんどんと増え、身体が作られていきます。
その間、胎児は母体から葉酸をはじめ、さまざまな栄養素をもらって成長していきます。
そして、生まれた後も成長・発達を続けていきます。
葉酸は遺伝子や細胞に関わる役割をしているので、子どもも大人も変わりなく葉酸を摂る必要があります。
ただし、成長期の子どもはとくに葉酸が必要で、葉酸の推奨量のピークは、男女ともに15~17歳です。
3.子どもの葉酸摂取のキホンとは
子どもにとって葉酸は、健やかに育っていくために必要な栄養素です。
しかし、重要なのは摂り続けることであり、妊娠中のように一定の期間だけ多くに摂ったら良い、というわけではありません。
また、成長する上では葉酸だけでなく、ほかの栄養素もバランス良く摂取することが必要です。
そのため、子どもの葉酸摂取は、「食事から摂ること」が基本です。
食事以外から葉酸を特別に補う必要があるのは、すでに葉酸欠乏によって「巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ)」などの病気になっている場合です。
この場合には、治療として葉酸を摂取するため、医師の処方のもとで必要量を摂る必要があります。
4.葉酸を多く含む食品
実際に葉酸が摂れているのかわからないという方に、葉酸を多く含む食品をお伝えします。
葉酸を多く含む食品は、ほうれん草、ブロッコリーやアスパラガス、枝豆、サニーレタスなどです。
ほかに比較的多く含まれている食品には、カボチャやトウモロコシ、小松菜、切り干し大根、カリフラワーなどがあります。
果物では、イチゴやキウイフルーツ、バナナなどがあります。
5.子どもがサプリメントで葉酸を摂るときの注意点
葉酸が多いものばかりを選んで食卓に並べるのはなかなか大変ですが、さまざまな食品に少しずつ含まれています。
また最近では、葉酸が添加されている強化食品もよく見かけますし、サプリメントなどの栄養補助食品もあります。
子どもの葉酸摂取は食事からが基本ですが、サプリメントや強化食品で葉酸を補う場合には、大人と同様に過剰摂取に注意を払う必要があります。
そのためには、サプリメントや強化食品の葉酸の含有量を必ず確認しましょう。
さらに、年齢に応じた上限量を確認して、その量を超えて摂取することがないようにします。

●1日あたりの葉酸の耐容上限量(※)
・4~5歳:300μg
・6~7歳:400μg
・8~9歳:500μg
・10~11歳:700μg
・12歳以降:900μg(大人と同等
※サプリメントや強化食品などに含まれる合成された葉酸の上限量
なお、3歳未満の子どもは腎臓が未熟で負担になるため、サプリメントは使用しないようにしましょう。
6.年齢を重ねるごとに不足しがちな野菜
葉酸を多く含む緑黄色野菜や果物の摂取は、誰もが不足しがちな食材です。
「国民健康・栄養調査」によると、野菜の摂取量はどの世代においても不足気味ですが、とくに子育て世代ともいえる若い世代で不足しがちです。
このようなことからも、とくに野菜を積極的に摂ることをおすすめします。
「野菜不足?葉酸不足?」と思ったときには、手軽に摂れる葉酸添加の食品や、サプリメントなどをうまく利用して補うのもよいでしょう。
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ただし、その場合には過剰摂取にも気をつけましょう。
また、子どもが野菜嫌いで困っているという方もいるかもしれません。
そのような場合、なにがなんでも食べさせようと思うと、親にとっても子どもにとってもプレッシャーになります。
小さい子どもは、カボチャやトウモロコシ、果物など甘味のあるものや、色の濃いものに興味を示しやすいので、これらをうまく活用して子どもの興味をひいてみましょう。
そのうち、子どもの味覚も発達していき、徐々に食べられる野菜が増えていきます。
そして何よりも、子どものための葉酸摂取を意識するのであれば、親である大人も一緒に食事を見直すことが大切です。
※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:助産師 保健師 看護師 座波朝香 ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
株式会社とらうべ所属
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座波朝香

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