【管理栄養士が解説!】グルコサミンで身長が伸びるって本当?!
この記事の執筆専門家
管理栄養士 山本ともよ (株式会社とらうべ)
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中。
※本記事は、管理栄養士の方に執筆いただいたものを健康チョキンにて編集しております。
1.はじめに
体型を理想に近づけたいと考えたとき、体重は努力次第で変えることができますが、身長を伸ばすことは、成長期でない限り簡単なことではありません。
そんな中、身長を伸ばす栄養素があったら摂りたい人も多いでしょう。
関節軟骨を構成する栄養素のひとつであるグルコサミンは摂ることで身長が伸びるのでしょうか?
考えていきましょう。
2.身長が伸びるメカニズム
成長期が終わるまでの骨の端には「骨端線」と呼ばれる軟骨があり、ここに骨のもととなる軟骨細胞がたくさんあり、そこで新しい骨が作られます。
新しい骨を作るためには2つのホルモンが深く関わります。
●成長ホルモン
骨端部を刺激することで、骨の成長を促します。
成長ホルモンが分泌過剰では、肥大症や末端肥大症の原因に、反対に、成長ホルモンの分泌低下では低身長の原因になります。
●甲状腺ホルモン
喉にある甲状腺と呼ばれる器官から分泌されるホルモンで、代謝を促すホルモンです。
とくに成長ホルモンは身長の伸びに深く関わりますが、成長ホルモンの分泌には生活習慣が大きく影響します。
十分な栄養補給、運動による刺激、良質な睡眠によって成長ホルモンの分泌が活発になり、身長の伸びも円滑に行われます。
骨が十分に伸び成長期が終わるのと同時に、骨端線は消えていきます。
そのため、成長期を過ぎると身長の伸びは期待できなくなります。
3.成長期以降には「身長を縮ませない」ことが重要
残念ながら、成長期を終えると身長の伸びは止まります。
さらに、中年期以降になると加齢とともに、個人差はあるものの、少しずつ身長が縮んでいきます。
ですから、成長期以降には「身長を縮ませない」ということも大切です。
加齢により身長が縮む主な原因は次の2つです。
●背骨の変形や背骨の圧迫骨折
背骨が曲がると身長が低くなるのは想像がしやすいと思います。
また、背骨ひとつひとつを構成する組織のひとつである錐体が圧迫骨折を起こすと、錐体の厚みが薄くなり身長が縮みます。
これらが起こる大きな原因が骨粗しょう症です。
骨がスカスカになり骨折しやすくなる病気で、日本では一般的に40歳以上で発症し、加齢に伴ってその割合が増えています。
女性ホルモン分泌の低下が、これに影響しているため女性でとくに閉経後に多く見られます。
しかし、近年では、栄養不足により若い人でも骨粗しょう症の進行が見られるようになっています。
●悪い姿勢
猫背など背骨の歪み、O脚変形、骨盤のゆがみなども身長が低くなる原因です。
姿勢が悪くなる原因には筋力の衰えも関係します。
腹筋や背筋が衰えることで、骨盤や脊椎を支えられずに姿勢が悪くなります。
●水分の減少
背骨には骨と骨の間に「椎間板」という緩衝材となる軟骨があります。
この軟骨のクッション性は保湿力によって調節されており、水分が少なくなるとその分椎間板の厚みも薄くなります。
ヒトには一般的に23個椎間板があります。
例えばひとつが1ミリ縮んでも、全体では2センチ以上の違いになります。
加齢とともに保水力は減少していくため、身長の縮みにつながります。
4.グルコサミンと身長の関係
グルコサミンは糖とアミノ酸が結合した「アミノ糖」と呼ばれる成分です。
通常、関節の健康維持が期待される成分ですが、その理由は、関節軟骨で保水力を保つ構造の成分として利用されるためです。
身長の点では、残念ながら伸ばすために取り入れても効果は期待できないでしょう。
しかし、背骨の軟骨である椎間板の保水力を保つことによって、身長が縮むことを予防する一助となる可能性はあります。
グルコサミンを摂っても、体内に吸収されるときには糖とアミノ酸に分解されてしまうため、必ずしも軟骨組織に働くとは限りません。
そのため、食生活でバランスのいい食事を心がけながら、それに加えてグルコサミンを摂ることで関節に働きかけてくれる可能性は高まります。
5.身長が縮むのを予防する生活習慣
●良い姿勢で過ごす
背筋を無理に伸ばそうとするのは良くありません。
良い姿勢は、骨盤とお腹を意識して作ります。
顎を引いて、首を伸ばしましょう。姿勢を維持するための筋力の低下を補うためには、適度な運動も重要です。
ウォーキングやラジオ体操など、全身を動かす運動を継続して行いましょう。
その際に良い姿勢を意識すると効果的に筋肉を鍛えることができます。
●栄養バランスを整える
まずはバランスのいい食事が基本です。
毎食で、主食・メインのおかず・サブのおかずをそろえるようにしましょう。
それに加えて、ホルモンや骨、筋肉、軟骨などの組織のもととなるたんぱく質、骨の主要成分であるカルシウム、軟骨の成分であるグルコサミンなどを積極的に取り入れるといいでしょう。
●良質な睡眠と休養
成長期の身長の伸びには睡眠がとくに重要です。
それは、成長ホルモンの分泌を活発にするためです。
成長期以降も睡眠と休養は大切ですが、その理由は、骨や軟骨にかかる負荷を軽減することです。
ヒトは常に重力や体重を支えています。
それによる負荷の積み重ねが組織の損傷につながります。
規則的に睡眠や休養をとり、身体の組織の負担を減らし、修復する時間をしっかりと取りましょう。
※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:管理栄養士 山本ともよ ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
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