【管理栄養士が解説!】青汁に含まれる「難消化性デキストリン」の真実!
1.はじめに
難消化性デキストリンは機能性成分として、さまざまな加工食品に利用されています。
健康維持に働く成分なのですが、その正体はあまり知られていません。
今回は、難消化性デキストリンの正体を詳しく解説し、上手に活用する方法をお伝えします。
2.難消化性デキストリンの正体
食物繊維は、健康維持・増進に働く栄養成分としてよく知られています。
かつては「消化できない不要なもの」とされていましたが、その機能が知られ、さらに、日本人の食生活が欧米化したこともあり、食物繊維の働きが重要視されるようになりました。
しかし、1日に摂取したい食物繊維の目標量に対して、平均摂取量はどの世代も男女ともに達していないのが現状です。
そこで、不足しがちな食物繊維を補う目的で作られたのが「難消化性デキストリン」です。
「難消化性デキストリン」は、トウモロコシに含まれる糖質のデンプンを培焼(あぶり焼くこと)し、デンプンを消化する酵素で処理することで作られます。
この過程で出てきた、消化できない成分を調製した水溶性食物繊維が、難消化性デキストリンです。
水溶性食物繊維は水分を含むとネバネバの粘性を示し、これが身体での機能を果たしてくれます。
ただし、そのネバネバが食品の形態を変えてしまうため、食品素材としてはデメリットでもあります。
この点、難消化性デキストリンは低粘性であり、さらに甘味が少なくほぼ透明、熱や酸に強く、ミネラルの吸収阻害もしない、優れた食品素材で、さまざまな食品に応用されています。
厚生労働省からも、特定保健用食品(※)として許可されています。
※特定保健用食品・・・国の許可を受けて、その摂取により特定の保健の目的が期待できる旨の表示ができる食品。つまり、その保健目的が国のお墨付き、ということです
また、アメリカのFDA(アメリカ保健福祉省のひとつで食品医薬品局)では、1日の摂取量の上限を明確に定める必要がないほど安全な食品素材であるとされていて、安全性も公的に認められています。
3.難消化性デキストリンの働き
ここで難消化性デキストリンにどのようなはたらきがあるのか、紹介していきます。
●食後の血糖上昇を抑える
食事から摂った糖質は、体内でブドウ糖に分解され、小腸で吸収されます。
すると、血糖値(血液中の糖質濃度を示す値)が上がります。
これは誰でも起こる生体反応ですが、食生活の乱れや、肥満などの健康状態の変化によって血糖値が通常以上に上がってしまうと、血管に負担がかかってしまいます。
また、その状態が長く続くと身体のさまざまな場所で細胞に損傷を与えてしまいます。さらに、老化物質を作り、老化を早めることもわかっています。
難消化性デキストリンは、小腸で消化吸収されるときに糖質に働きかけて吸収スピードをゆるやかにし、血糖値の急上昇を抑えることがわかっています。

●難消化性デキストリンの効果①
小腸で消化吸収されるときに糖質に働きかけて吸収スピードをゆるやかにし、血糖値の急上昇を抑える
●食後の中性脂肪の上昇を抑える
難消化性デキストリンは、糖質と同様に食事に含まれる脂質の吸収をゆるやかにし、食後の血中中性脂肪の増加をゆるやかにする働きがあります。

●難消化性デキストリンの効果②
食事に含まれる脂質の吸収をゆるやかにし、食後の血中中性脂肪の増加をゆるやかにする働き
●整腸作用
水溶性食物繊維である難消化性デキストリンは、便に水分を含ませて柔らかくしたり、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整える働きが確認されています。
ヒトにおける試験では、難消化性デキストリンを1日5gまたは10g摂取することで、排便回数と便の量が増え、便の性状と排便後の感覚が良好になったという結果が得られています。

●難消化性デキストリンの効果③
便に水分を含ませて柔らかくしたり、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整える働き
●ミネラルの吸収促進作用
難消化性デキストリンは、カルシウム、鉄、マグネシウム、亜鉛などの吸収を促すことが確認されています。

●難消化性デキストリンの効果④
カルシウム、鉄、マグネシウム、亜鉛などの吸収を促す
4.難消化性デキストリンが含まれる食品
難消化性デキストリンは、天然の食材に含まれるものではないため、添加されている製品を選ぶことが必要です。
お茶やジュース、青汁、スープ、パン、ビスケット、チョコレート、ソーセージなどさまざまな製品に利用されています。
また、粉末状で購入することもできるため、自分の好みで飲み物や料理に加えて利用することもできます。
5.摂り方のポイント!
とても魅力的な食品素材といえる難消化性デキストリン。では、どのように摂り入れたらいいでしょうか?
そのポイントを覚えておきましょう。
- 摂取のタイミング
食事と一緒に摂りましょう。
食事に含まれる糖質や脂質に働きかけるためには、一緒に摂り入れなくては意味がありません。
- 適切な摂取量
特定保健用食品制度における規格基準に示されている摂取目安量は次のとおりです。
- おなかの調子を整える作用:3~8g
- 糖質の吸収をおだやかにする作用:4~5g
- 脂質の吸収をおだやかにする作用:5g
たいていは製品に含有量が記載され、1日の摂取めやすも示されています。しっかり確認し、守るようにしましょう。
- 続けて利用する
1日だけ摂れば身体が変わるわけではありません。
毎日適量を続けることで健康な身体を維持することにつながります。
毎日の生活に取り入れやすい形で継続的に利用しましょう。
※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:管理栄養士 山本ともよ ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
株式会社とらうべ所属
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山本ともよ

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この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 管理栄養士(121)
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