【徹底解説】乳酸菌の働きと主な種類って?
1.はじめに
腸内環境を整える乳酸菌。
その種類は数百といわれていて、多様な働きが注目されています。
これらの中から、いくつかの乳酸菌を取り上げ、それぞれの働きを紹介していきます。
2.乳酸菌とは
実は、「乳酸菌」は特定の菌の名前ではありません。
「乳酸菌」とは、ブドウ糖から乳酸を50%以上作り出す能力を持つ細菌の総称です。
自然界のどこでも存在する細菌なのですが、ヒトの腸内に存在する乳酸菌はほかの動物の腸内では生育することができません。
それぞれの腸内環境に適して存在し、働いているのです。
ヒトの腸内には100種類以上、100兆個以上の腸内細菌が棲みついています。
乳酸菌も身体に良い働きをする腸内細菌のひとつであり、「善玉菌」と呼ばれています。
乳幼児の腸内では乳酸菌などの善玉菌が90%以上を占めていますが、その数は年齢とともに減少していきます。
また、不規則な生活習慣やストレス、薬剤の影響などによっても善玉菌の割合は減ってしまいます。
そのため、乳酸菌そのものを摂取したり、乳酸菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維などを摂取し、腸内で善玉菌を増やすように働きかけることが必要となるのです。

●乳酸菌とは
ブドウ糖から乳酸を50%以上作り出す能力を持つ細菌の総称
3.乳酸菌の働き
乳酸菌には多くの種類がありますが、共通する働きを紹介します。
●腸内環境を整える
腸内は善玉菌、悪玉菌、日和見菌(ほかの菌の優劣で働きを変える)が2:1:7の割合で存在することが理想的で、腸内環境が整った健康的な状態といえます。
腸内で糖質から乳酸を作り出し、腸内を酸性に保ちます。
酸に弱い性質を持つ悪玉菌は、酸性の状態では活動できないので、乳酸菌の働きによって善玉菌と悪玉菌を2:1の割合に保つことができます。
腸内環境が整うと、便秘や肌荒れを予防・改善することができます。
●免疫力を高める
免疫細胞の約7割は腸に集中しています。
小腸の内側には絨毛(じゅうもう)と呼ばれる細かい突起があります。
絨毛の隙間には「パイエル板」という異物を感知する働きが備わっています。
パイエル板が異物を感知すると、リンパ球が分泌され異物を排除します。
乳酸菌はパイエル板を刺激し、免疫力を高めることがわかってきています。
●貧血を予防する
貧血の原因というと鉄の不足が有名ですが、赤血球を作るビタミンB12や葉酸が不足することによっても起こります。
乳酸菌は、腸内でビタミンB群を合成していて、その一部が身体に吸収され、貧血を防いでいると考えられています。
なお、乳酸菌は加熱や胃酸などの消化液で、腸に届く前に死んでしまうことも少なくありません。
ただ、死菌では効果がないかというとそうではありません。
免疫細胞を刺激する働きは死菌でも同じ効果が得られます。
一方、乳酸や栄養素を作り出す働きは生菌による働きに限られます。
4.乳酸菌の種類と特徴
数百種もあるといわれる乳酸菌の中から、おもな種類とその特徴を紹介します。
なお、名称は学術的な正式名称ではなく一般的に知られている名称です。
乳酸菌が含まれる食品やサプリメントに記載されていることが多いので、参考にしてみてください。
乳酸菌を殺菌処理したもの。死菌であり、耐熱性に優れているため、安定した働きを期待できます。
免疫細胞を刺激し、免疫力を高めるのに働きます。
生きた状態で腸まで届くことと、独特の粘りが特徴です。
この粘りがヒトの消化液に強く、生きたまま腸に届くことができます。
免疫細胞が作り出すIgEという抗体は強い免疫作用を持ち、病原菌やウイルスに抵抗する物質ですが、過剰生産されるとアレルギー反応を起こしてしまいます。
このIgE産生を低下させ、アレルギー性皮膚炎や花粉症の症状を緩和する効果が期待されています。
そのほか、インフルエンザなどの感染症予防や血糖値の上昇を緩和が確認されています。
免疫細胞のひとつであるナチュラルキラー細胞は、特定の異物ではなく、体内に侵入した病原菌、異物に対して広く攻撃をします。
さらに、免疫器官からの指令がなくても単独で攻撃を仕掛けることができます。
免疫力が高まり、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりにくくなります。
ほかの乳酸菌に比べて強い細胞壁があり、体内でも細胞壁の構造が維持されるため、活発に腸内で働きます。
とくに免疫力を高める働きが注目されていて、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状の緩和が期待されています。
京都の伝統的漬物「すぐき漬」から発見された乳酸菌です。
酸に強く、生きたまま腸内に届いて、多くの乳酸を作ることができます。
ナチュラルキラー細胞の活性化やそのほかの免疫細胞の働きを強化する働きが注目されています。
5.最後に
おもな働きは共通しているものの、強みは乳酸菌によって異なります。
自分の腸内環境に合う乳酸菌は人それぞれ違います。
腸内環境への効果は2~3週間続けて実感できます。
ぜひ、自分に合う乳酸菌を見つけてみてください。
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※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:管理栄養士 山本ともよ ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
株式会社とらうべ所属
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山本ともよ

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この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 管理栄養士(121)
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