【管理栄養士が解説!】風邪予防にラクトフェリンって本当!?
この記事の執筆専門家
管理栄養士 山本ともよ (株式会社とらうべ)
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中。
※本記事は、管理栄養士の方に執筆いただいたものを健康チョキンにて編集しております。
1.はじめに
寒くなると、風邪などの感染症にかかりやすくなります。
毎年風邪をひいてしまう人は、「今年こそ対策をしよう!」と思っているかもしれません。
そんな中、チマタではラクトフェリンが風邪予防に良いという話があります。
はたしてこれは本当なのでしょうか?
そこで、ラクトフェリンの風邪予防効果について解説します。
2.風邪をひくのはなぜ?
風邪は、ウイルスや細菌などの病原体が気道に付着し、炎症を起こすことで発症します。
しかし、私たちの身体には、病原体から身体を守るしくみ「免疫機能」が備わっているため、体内に病原体が付着したからといって、いつも風邪を発症したり、重い症状が現れるわけではありません。
では、この免疫機能とはどのようなものなのでしょうか?
まず、免疫機能のひとつとして、口・喉を覆う粘膜や鼻に生える鼻毛などが挙げられます。
これらが機能することで、病原体が付着し、体内に侵入するのを防いでくれます。
また、たとえ病原体が体内に侵入してしまった場合でも、今度は免疫細胞が働くことで身体を守ろうとします。
免疫細胞には、白血球やNK(ナチュラルキラー)細胞、T細胞、B細胞などさまざまな種類があり、これらが連携して病原体を攻撃しています。
このように、私たちには身体を守る免疫システムが備わっています。
そして、これらの機能が充分に働いていれば、風邪にもかかりにくく、もし発症したとしても軽い症状で済ませることができます。
しかし、何らかの原因によって免疫力が低下すると、風邪をひきやすくなったり、悪化しやすくなります。
免疫力が低下する要因には、気温の低下や加齢など自分の力ではどうしようもないものもありますが、食生活の乱れや睡眠不足、過度なストレスなどの生活習慣も大きく影響しています。
3.ラクトフェリンの風邪への効果
では、なぜラクトフェリンが風邪の予防効果があるといわれているのでしょうか?
ラクトフェリンは、母乳や牛乳に含まれる成分でたんぱく質の一種です。
とくに、生後5目までの母乳である「初乳」には、多くのラクトフェリンが含まれています。
生まれて間もない赤ちゃんが初乳を飲むことで、病原体から身体を守ることができるといわれています。
また、ラクトフェリンは血液や粘膜、鼻水、涙などの分泌物にも含有されるほか、白血球の成分である好中球の中にも存在し、身体が病原体などの影響で炎症を起こしているときに生体を保護したり、免疫機能を調整する作用のあることが分かっています。
さらに、ラクトフェリンにはNK細胞などの免疫細胞を、増殖させたり働きを活性化させる作用があることも報告されています。
つまり、ラクトフェリンには免疫力を高める効果があり、風邪などを予防できる可能性があるといえるのです。
4.風邪対策とラクトフェリンの摂り方
風邪を予防したり、悪化を防ぐためには、免疫力を上げることが不可欠です。
そのために、まずは睡眠や食事などの基本的な生活習慣を見直し、免疫力を下げないようにすることが大切です。
ただ、毎日忙しく過ごしていると、気をつけていても風邪をひいてしまうこともあります。
また、体温が下がると免疫力も低下するため、寒い季節はより一層の予防策が必要になります。
風邪を予防する方法はいくつもありますが、免疫力を高める方法としてラクトフェリンを摂取することも方法のひとつです。
ただし、ラクトフェリンは母乳や牛乳などに含まれますが、熱に弱いという特徴があります。
そのため、残念ながら、加工の段階で加熱処理が行われる一般的な乳製品にはほとんど含まれていません。
「それなら、食べ物からラクトフェリンを摂るのは不可能なの?」と思う方もいるかもしれません。
お伝えしたように、一般的な乳製品には含まれていませんが、最近ではラクトフェリン入りのヨーグルトや飲料などが開発されていて、これらの製品には1個あたり100~200mgのラクトフェリンが含まれています。
スーパーやコンビニなどで手に入れることができるので、これらの製品を意識して摂ると良いでしょう。
また、ラクトフェリンを配合したサプリメントも市販されているため、それらを活用するのも方法のひとつです。
免疫細胞の多くは腸内に存在するため、これらを含む乳製品などを一緒に摂り、腸内環境を整えておくことも、免疫力を高める上ではおすすめです。
なお、現在のところラクトフェリンの1日あたりの摂取量や上限量については定めがなく、また、たくさん摂った場合の悪影響についても確認されていません。
ラクトフェリン自体は高い安全性が確認されていますが、ヨーグルトなどには砂糖などが含まれているものもあるため、摂りすぎには気をつけましょう。
また、乳製品へのアレルギーがある方は控えるようにしましょう。
※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:管理栄養士 山本ともよ ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
株式会社とらうべ所属
〈参考〉
・https://health.suntory.co.jp/professor/vol3/
・http://www.kracie.co.jp/ph/k-kampo/hikihajime_no_hikihajime/catch.html
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山本ともよ

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この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 管理栄養士(121)
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