【管理栄養士が解説】ラクトフェリンに副作用はあるの?
この記事の執筆専門家
管理栄養士 山本ともよ (株式会社とらうべ)
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中。
※本記事は、管理栄養士の方に執筆いただいたものを健康チョキンにて編集しております。
1.はじめに
ラクトフェリンは健康維持に役立つとして名が知られるようになった成分です。
たんぱく質の一種であり、ヒトが体内で合成する成分であり、安全な成分といわれています。
そんなラクトフェリンですが、副作用はあるのでしょうか?
詳しく解説していきます。
2.ラクトフェリンとは?
ラクトフェリンは哺乳類の乳汁に多く含まれるたんぱく質の一種です。
その名の由来は、「ラクト=乳」「フェリン=鉄」で、鉄分と結びつきやすい性質からこの名が付けられています。
体内で「抗菌作用」「抗炎症作用」「免疫力を高める」「腸内環境を整える」「貧血を予防する」など、細菌と身体のバランスをとるのに働いています。
ヒトも哺乳類であり、母乳にも豊富に含まれ、身体の機能が未熟な赤ちゃんを細菌から守り、健やかな成長、健康維持に働いています。
母乳のほか、唾液や涙、鼻水、血液中にも含まれています。
赤ちゃんが毎日取り入れており、体内でも合成される成分であり、安全で、副作用の報告もありません。
その安全性や機能性から、細菌では、サプリメントやラクトフェリンを添加した食品が製品化されて売られています。
加工されたラクトフェリンは、そのほとんどが牛乳から抽出されています。
3.ラクトフェリンの副作用
副作用とは、使用の目的に沿わない作用が起こることをいいます。
先にも述べたように、ラクトフェリンは母乳に豊富に含まれ、赤ちゃんが取り入れる成分で、安全性の高い成分です。
通常の食品に含まれる量であれば安全であることはもちろんのこと、現在のところ、サプリメントなどでも副作用の報告はありません。
アメリカFDA(保健・福祉省食品医薬品局)でも、一般的に「安全」とみなされた物質として認められています。
ただし、過剰に摂取すると、副作用が起こる場合があります。
ラクトフェリンの効果に関する研究の多くは、200~600mg/日で行われています。
ラクトフェリンの1日あたりの摂取量に決まりはありませんが、一般的には1日あたりの目安量は100~300mgとされています。
ただし、どんなに安全とされている成分でも、過剰摂取はからだに悪影響を及ぼす可能性があります。
ラクトフェリンも、過剰摂取の副作用として下痢を起こすことが報告されています。
これは、腸内細菌のバランスが変化するためと考えられています。
動物実験やヒトでの臨床試験において、ラクトフェリンを摂ることで腸内の善玉菌である乳酸菌とビフィズス菌が増えることが報告されています。
良い菌であっても、急な腸内細菌のバランスの変化により、一時的に水分調節が上手くいかずに便がゆるくなるのです。
4.摂取量に気を付けることが必要なケース
飲む人の状態によっては、副作用が起こる可能性もあります。
次のような場合には、摂るのを控えたほうがいいでしょう。
●乳アレルギー
ラクトフェリンは、一般的には、加熱殺菌していない牛乳である生乳の中のホエイやカゼインなどのラクトフェリン以外のたんぱく質を除き、抽出されます。
「ラクトフェリン」というたんぱく質自体にアレルギー反応を起こさなくても、乳アレルギー症状を引き起こす可能性があるのです。
乳アレルギーがある方は摂ることは控えましょう。
また、栄養補助食品は、その成分だけでできているわけではなく、そのほかの栄養成分や添加物、服薬を便利にするために加える賦形剤(ふけいざい)などで構成されています。
過去にサプリメントや医薬品でアレルギー症状を起こしたことがある人や、自分が反応するアレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)がわかっている場合には原材料を確かめ、安全を確認してから摂りましょう。
●持病がある場合
ラクトフェリンは、医薬品やサプリメントとの相互作用の報告はなく、食べ合わせの面でも安全な成分として評価されています。
基本的には食品の一つとして、過度に心配する必要はありません。
ただし、作用として胃や腸などの消化器に働きかけたり、また、ラクトフェリン以外の成分が添加されているため、ラクトフェリン以外の成分での影響がないとは言い切れません。
そのため、持病がある場合には、主治医に相談のもと利用することが望ましいでしょう。
どちらも、ラクトフェリンに限ったことではなく、どんな健康食品でも同じです。
アレルギーを含む持病がある場合には、注意が必要で、ときには避けることが必要です。
●腸が弱い人
腸内環境の変化に敏感な場合には、摂取量が過度に多くなくても影響が出る場合があります。
そのときには、摂取量を減らすようにしましょう。
腸内環境の変化は時間の経過によりバランスが取れて、便の状態は回復します。
なお、妊娠中や授乳中、小児の場合は、適量であれば問題はないとされています。
しかし、サプリメントなどの濃縮物の場合、過剰摂取による影響について安心と言える根拠がないことから、用法容量を守るようにしましょう。
※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:管理栄養士 山本ともよ ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
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この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 管理栄養士(121)
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