【管理栄養士が解説!】ラクトフェリンはこんな人におすすめ!
この記事の執筆専門家
管理栄養士 山本ともよ ( 株式会社とらうべ)
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中。
※本記事は、管理栄養士の方に執筆いただいたものを 健康チョキンにて編集しております。
1. はじめに
健康に良い成分として知られている「 ラクトフェリン 」。健康に良いとされる成分が多くある中で、 どのような人が摂り入れるといいでしょうか。
<それを知るためには、 成分の働きや特徴を理解することが大切です。ラクトフェリンを理解して、自分に必要かどうか検討してみてください。
ラクトフェリンって何?
たんぱく質の一種 である「ラクトフェリン」は、 母乳に多く含まれています。
その名の由来は、「 ラクト=乳」「 フェリン=鉄」で、鉄分と結びつきやすい性質からこの名が付けられています。
産後1週間ほど分泌する 初乳では100mlあたりおよそ600mg含まれ、 通常の母乳でも100ml当たりおよそ200mg のラクトフェリンが含まれています。
牛の母乳、つまり牛乳にも含まれますが、 ラクトフェリンは熱に弱い性質を持つことから、加熱殺菌されるとほとんどが分解されてしまいます。
そのため、加熱する前の生乳に含まれていますが、その量は母乳の10分の1程度です。乳のほかにも、 唾液や涙、鼻水や血液中など、体内に広く分布する物質 です。
ラクトフェリンの効果
ラクトフェリンの主な働きを挙げます。
細菌の多くは体内で生きるために鉄を必要とします。 ラクトフェリンが 鉄を奪うことで、細菌が増殖しにくい環境を作る ことができます。
ラクトフェリンによって組織を防ぎます。これは、 ラクトフェリンが 細菌由来の炎症物質「リポポリサッカライド(LPS)」と結合することで細菌の細胞膜を壊し、炎症の原因物質の産生を抑える ためです。
腸内細菌のうち、悪玉菌は増殖に鉄を必要とします。一方で、善玉菌と呼ばれる乳酸菌やビフィズス菌などは、生育に鉄をあまり必要としません。
そのため、ラクトフェリンが鉄と結合して、鉄を失った環境では、悪玉菌が増殖しにくく、善玉菌が生育しやすくなる のです。
ラクトフェリンは白血球の半数余りを占める「好中球」の成分となります。ラクトフェリンが十分にあると、 好中球の働きが活性化し免疫力が高まります 。
ちなみに、 免疫細胞には好中球のほかにも、マクロファージ、NK細胞、B細胞、T細胞などがあります。ラクトフェリンはこれらの活性を高める作用もあることがわかっています。
鉄と結びついてその吸収や体内での移送を円滑にして、 貧血を予防 しています。
ラクトフェリンは細菌と上手につき合う体内の環境整備をしてくれる役割を果たします。
2. こんな人はラクトフェリンを摂ろう!
ヒトは細菌と共存していますが、そのバランスが乱れると、健康を害することになります。その バランスをサポートするのがラクトフェリンの特徴 です。
次のような場合には、ラクトフェリンを摂ることをおすすめします。
- 風邪をひきやすくなった
- 下痢や便秘を起こしやすい
- 花粉症の症状が辛い
- 免疫力を高めたい
- 季節や加齢を問わず、強い身体を維持したい
3. 効果を実感するためのポイント
(1)継続して飲み続ける
ラクトフェリンを摂ったからといって風邪が治ったり、下痢や便秘が治まるというわけではありません。
身体に悪影響を及ぼす細菌が生育しにくい環境を作るのがラクトフェリンの働きです。
ラクトフェリンの効果に関する研究は2か月以上、長いものでは半年ほど飲み続けた結果を観察していますが、 健康的な身体づくりとして毎日摂り続けることが大切 です。
(2)摂取量の目安
ラクトフェリンの摂取量に決まりはありません。効果に関する研究から、その機能性を期待するためには、 1日あたり 150~300mg程度摂取すると良いとされています。
食品に含まれるラクトフェリンは母乳を除き、ごく微量です。そのため、 ラクトフェリンを添加した食品(ヨーグルトやスキムミルク、粉ミルクなど) やサプリメントを利用 するのが 効率的 です。
(3)腸まで届くものを選ぶ
ラクトフェリンは胃酸に弱い性質を持ち、それによって分解されてしまうことがわかっています。そのため、 胃酸の影響を受けずに腸にまで届く加工がされているものを選ぶといい でしょう。この性質は「腸溶性」と呼ばれます。
ただし、 「抗菌作用」に関しては、 胃酸の影響でより効果が高まる ことが 森永乳業の研究によって報告されています。
(4)生活習慣の見直しも一緒に
いくらラクトフェリンを摂り環境整備を行っても、栄養バランスの乱れや不規則な生活、ストレスなどがあれば、ヒトは健康な状態を維持できずに細菌に負けてしまいます。
バランスのいい食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレス解消などを行いながら、それと 一緒にラクトフェリンを取り入れることで、強い身体を作る ことができます。
この記事を読んだ方はこの4つの記事も読んでいます!

山本ともよ

最新記事 by 山本ともよ (全て見る)
- ぎっくり腰になった!その原因や症状、治し方、予防法は? - 2018年5月9日
- 【栄養管理士が解説】DHAとEPAの1日の推奨摂取量は?上限ってあるの? - 2018年4月16日
- 【管理栄養士が解説】下痢が続く…その原因と治し方、予防法は? - 2018年4月16日
この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 管理栄養士(121)
- 健康チョキンTOP
- ≫ 健康食品・健康成分について調べる
- ≫ ラクトフェリン
- ≫ 【管理栄養士が解説!】ラクトフェリンはこんな人におすすめ!