【ビタミンやミネラル不足】で性格も変わるって本当?!
1.はじめに
健康生活におよぼす生活習慣の影響が広く認識されるようになってきました。
とくに、バランスがとれた食生活は重要です。
5大栄養素といわれる、炭水化物・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラル。これらのどれが欠けても偏ってもいけません。
では、ビタミンやミネラル不足は身体だけでなく精神的な性格などにも影響を及ぼすのでしょうか?
2.性格とは?
いわゆる「その人らしさ」を意味する性格。現在では「パーソナリティ」と呼ばれています。
そして、パーソナリティには、ひとつは、遺伝や自然環境、食物などから造られる生物的な「体質(気質)」の側面と、もうひとつ、人間関係、価値観や文化などによって作られる社会的な「性格」の側面とがあります。
「キレやすい」「弱々しくて元気がない」といったことは体質的な特徴です。
一方、キレやすいことが周囲から「暴れん坊」とみられたり、元気のない人が「おとなしい」イメージをもたれるなど、その人の体質的な特徴が周囲の人からどのように見えるかという、「相手からの印象」のことを性格といいます。
原語は character ですので「キャラ」ともいえるでしょう。

●パーソナリティとは
・遺伝や自然環境、食物などから造られる生物的な「体質(気質)」
・人間関係、価値観や文化などによって作られる社会的な「性格」
3.体質をつくる栄養素
食品の栄養素は体内で分解や合成をくり返し、
1.身体を造る
2.エネルギーになる
3.身体の調子を整える
という、おもに3つの役割を果たします。
まさに、毎日・毎食、食べているものが身体を造り、その傾向や特徴が、その人らしさとしての体質になっていきます。
その一例として、古典的ですが医師の元祖ヒポクラテスは、身体をつくる4つの体液(血液・粘液・黄胆汁・黒胆汁)のうち、どれが優勢かによって気質(=体質)が決まるという説を唱えています。
ちなみに、ビタミンやミネラルは「3.生理作用の調整」を担っており、ミネラルに限っては、カルシウムが骨や歯の材質になるといった「1.身体を造る働き」もあります。
4.ビタミンやミネラル不足の体質への影響
ヒトに不可欠な「必須ビタミン」は13種類あります。
また、「必須ミネラル」は16種類です。
ビタミンもミネラルも、微量でも体内で不足すると「欠乏症」をひき起こし、健康な生命活動を維持することができなくなってしまいます。
以下では、体質に影響すると思われる欠乏症を挙げてみました。
●ビタミンが欠乏した場合
ビタミンA | 子どもの場合成長障害 |
ビタミンD | 骨軟化症、骨の成長障害、くる病など |
ビタミンE | まれですが、感覚障害や神経症状 |
ビタミンB1 | 倦怠感、食欲不振、脚気(かっけ)、手足のまひや意識障害 |
ビタミンB2 | 皮膚や粘膜の炎症、激しいかゆみ、眼精疲労、子どもの成長障害など |
ナイアシン | 皮膚炎や下痢、悪化すると抑うつや神経障害 |
ビタミンB6 | 湿疹など肌荒れや貧血、神経障害 |
葉酸 | 悪性貧血、肌荒れや疲労感など |
ビタミンB12 | 悪性貧血、神経障害 |
ビオチン | 皮膚炎、食欲不振、脱毛など |
ビタミンC | 疲労感や骨の発育不良、毛細血管から出血が起こる「壊血病」 |
●ミネラルが欠乏した場合
カルシウム | イライラして神経過敏になる。肩こりや腰痛も |
鉄 | 鉄欠乏性貧血による、疲れやすさ、食欲不振、頭痛、動悸など |
マグネシウム | 神経過敏、抑うつ、不整脈など |
ナトリウム | 倦怠感や食欲不振 |
カリウム | 脱力感や食欲不振 |
銅 | 貧血、毛髪異常、成長障害(子どもの場合) |
ヨウ素 | 甲状腺の肥大や機能低下 |
亜鉛 | 子どもの成長障害、貧血や味覚異常、皮膚炎、うつ状態、男性の性機能低下、免疫機能の低下 |
5.体質の変化がキャラにもたらす変化
たとえば、カルシウムが不足すると、イライラしたり、神経過敏になったりすることが増えます。
それがしばらく続くと、本人は「以前はもっとのんびりしていたのに、最近は、ちょっとしたことで怒ったり、キレたりするようになったな」と、体質の変化から自分のパーソナリティが変わったことを自覚するかもしれません。
また、周囲の人も、「以前はおっとりとしていて優しい人だったのに、この頃は、ちょっとしたことで怒るようになって、怖い人になっちゃったな!」と、キャラが変わったと感じるかもしれません。
また同じように、ビタミンB1が不足しつづけると倦怠感がつきまとうようになります。
以前は「はつらつとして、元気だった」のが、いつも疲れたような表情が消えなくなってしまいます。
本人もおそらくそれを体感する毎日になるでしょうし、周囲の人たちも、「いつも元気がなくて、クラいネ」といった印象を持つようになるかもしれません。
このように、栄養素の偏りは、まず、「体質」を、次いで「性格:キャラ」を変えていくことになります。
もちろん反対に、食生活が改善され、ビタミンやミネラルが充足されることで、元の体質を取り戻し、キャラも元に戻ることは十分にあり得るでしょう。
6.バランスのとれた穏やかな性格のために
ビタミンやミネラルの不足は、イライラ、倦怠感、神経過敏、抑うつなど、偏った体質やその印象としての性格につながりやすく、円満さや穏やかさとは対極的な“とがった”パーソナリティへと変容していく傾向があります。
ですから、栄養バランスを取り戻すことで、穏やかでやさしいキャラになれることでしょう。
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※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:保健師 藤尾 薫子 ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
株式会社とらうべ所属
〈参考〉
・中村丁次監修『栄養の基本がわかる図解事典』成美堂出版、2015
・吉川敏一『ビタミン・ミネラルの本』土屋書店、2014
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藤尾薫子

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この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 保健師(25)
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