【薬剤師・保健師が解説!】ジェネリック医薬品ってなに?選ぶ際のポイントは?
この記事の執筆専門家
保健師 藤尾 薫子 (株式会社とらうべ)
株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン。
※本記事は、保健師の方に執筆いただいたものを健康チョキンにて編集しております。
目次
1.はじめに
薬(医薬品)にはさまざまな種類があります。
今回ご紹介する「ジェネリック医薬品」は、昨今、よく宣伝されるようになってきました。
どのようなものなのでしょうか。
また、私たちが選ぶとき、どんなことに注意して選んだらよいのでしょうか?
2.ジェネリック医薬品とは
薬(医薬品)には、医師や歯科医師が処方する「医療用医薬品」と、調剤薬局・薬店・ドラッグストアなどで購入できる、処方箋のいらない「一般用医薬品(OTC)」とがあります。
「医療用医薬品」にはさらに、新規に開発され発売されている「新薬(先発医薬品)」と、新薬の特許が切れたあとで発売された、「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」とがあります。
ところで、薬には複数の名前があります。

・商品名(販売名)
製薬会社が付けた薬の名前

・一般名(薬物名)
WHO(世界保健機関)の承認によってつけられる名前

・成分名
薬には薬効を持つ成分に添加物が加わっています。この薬効成分が一般名

・化合物名
国際科学組織IUPAC(アイユーパック:国際純正・応用化学連合)の命名法で決められる名前
この中で、薬物名の一般名は、英語では generic name ジェネリック・ネーム と呼ばれ、世界共通の名称となっています。
とくに欧米では、ジェネリック医薬品の処方は一般名で呼ばれることが多いので、「ジェネリック医薬品」という名称が日本でも使われるようになりました。
3.新薬とのちがい
ジェネリック医薬品は、新薬(先発医薬品)と同一の有効成分が、同一量含有され、同一の効能・効果を持つ医薬品です。
新薬と異なる添加剤が使用されることがありますが、有効性、安全性及び品質について国が厳格な審査のうえ、製造販売の承認をしているお薬です。
また、新薬は一般に多くの時間と多額の費用をかけて開発されます。
そのかわり、特許の出願によって一定の期間、その薬を独占的に製造・販売する権利が与えられています。
そして、特許期間が過ぎると権利が国民の共有財産になり、後発医薬品として製造・販売することができるようになります。
ただし、有効成分以外の添加剤、製品の色や形、味や香りなどは違っている場合があります。
4.ジェネリック医薬品のメリット
新薬は、それなりに高い料金になります。
それに対して、ジェネリック医薬品は開発にかける時間も比較的短く、開発費も新薬よりは安くて済むので、新薬より低価格で購入できるのが、ユーザーにとってはメリットです。
また、健康保険料や税金で賄われる部分も安くなるので、ユーザーだけでなく国の医療費の節減にもつながります。
ジェネリック医薬品の価格は、新薬の2~5割くらいで設定されているといわれています。
長期間の服用者や複数の薬を飲む必要のある人にとっては、助かりますよね。
もうひとつのジェネリック医薬品のメリットは、後発なので、新薬を改良することが可能です。
添加物を変えて、色や形、臭いや味を変えられますから、飲みやすさや使い心地をよくしたり、新薬よりも服用しやすくすることができます。
たとえば、大きくて飲みづらかったものを小さくしたり、コーティングで苦みを少なくしたり、カプセルの形状に変更したりすることが可能です。
また、高齢者などで飲み込むのが苦手な場合、水なしでもさっと溶けるOD錠(口腔内崩壊錠)にすることもできます。
「改善」がジェネリック医薬品の「売り」というわけです。
5.新薬かジェネリック医薬品か?
有効成分が新薬と変わりなく、しかも安価なジェネリック医薬品。
加えて新薬よりも後発なので、改良や工夫も加わっているとなると、ジェネリック医薬品への需要は多くなるはずです。
ただし、新薬の特許が切れないとジェネリック医薬品は製造・販売ができませんが、すべての特許が切れていなくて、一部の効能や用法などに特許がかかっていても、ジェネリック医薬品が承認されることはあるそうです。
また新薬は新たに効能効果を追加する場合があります。
同じ薬剤でジェネリック医薬品を用いることができる効能と、できない効能があるわけです。
ですから、新薬にするかジェネリックにするかは、医師や薬剤師からの助言によって、現在の治療にもっとも効果的かどうかで、判断をしていくべきでしょう。
6.ジェネリック医薬品はどこで手に入れられるの?
病院で治療を受けたとき、医師からジェネリック医薬品を使うことをすすめられ、服用しだした人も多いでしょう。
また、自分からジェネリック医薬品を希望することもできます。
どちらにしても、ジェネリック医薬品は「医療用医薬品」ですから、医師や薬剤師と十分に相談をして求めていく必要があります。
7.課題として挙げられていること
欧米では広く普及しているといわれるジェネリック医薬品。
日本でも使用率は年々伸びていますが、2014年度実績は52%と、まだ高い普及率とはいえません。
そこで、遅くても2020年度までには80%以上の普及率をというのが、内閣府の改革基本方針に掲げられています。
ユーザーとなる私たちが、もっとジェネリック医薬品への理解を深めていくことが大切になるでしょう。
※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:保健師 藤尾 薫子 株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
株式会社とらうべ所属
この記事の監修専門家
薬剤師 杉村 昭文
長年病院薬剤師として勤務。千葉県病院薬剤師会名誉会員。
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藤尾薫子

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