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【保健師がわかりやすく解説!】知らないと損?新税制『セルフメディケーション税制』

  • 最終更新日:2018年9月18日
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保健師がわかりやすく解説!知らないと損?新税制!「セルフメディケーション税制」と保健師が言っている画像

 

監修者・男性

この記事の執筆専門家

保健師 藤尾 薫子  (株式会社とらうべ)

株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン。

※本記事は、保健師の方に執筆いただいたものを健康チョキンにて編集しております。

 

1.はじめに

2017年1月からスタートした『セルフメディケーション税制』、あなたはご存知ですか?

 

この新制度は医療費控除の特例です。

 

2021年12月31日までが対象期間となっています。

 

この期間、ご自身やご家族の方たちが健康増進や疾病予防に取り組んでいらっしゃるなら 、総所得金額などから控除され、減税になりお得です。

 


リーズナブルに自身の健康を自分で守るのは、現在、私たちに求められている生活の知恵なのかもしれません。

 

まずは、どんな制度なのかから、説明していきますね!

 

2.セルフメディケーション税制って?

セルフメディケーション税制って?保健師が言っている画像

 

セルフメディケーションという言葉に関して、WHO「世界保健機構」は「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義しています。

 

もちろん、重度の不調や病気はクリニックや病院などで治療をしてもらわなければなりませんが、ちょっと熱っぽいとか、鼻水が出て止まらないなど不調が軽度な場合は自分自身でケアしたり、 病気を予防するための 「健康管理」を、自分自身で積極的にやっていこうというのが、セルフメディケーションの“ねらい”です。

 

これを受けて、健康な生活習慣を身に着け、日ごろから疾病の予防に取り組み、ちょっとした体調不良なら病院に行かず、市販の薬を服用して自分自身の健康管理を行うさい、対象となる医薬品(これをスイッチOTC医薬品と呼びます)を購入した人に、新たに適用される減税制度、それが『セルフメディケーション税制』です。

 

3.どんな人が対象になるの?

どんな人が対象になるの?と保健師が言っている画像

 

『セルフメディケーション税制』の対象者はどのような条件を備えていなければならないでしょうか?

 

大きくは、3つの要件があります。

 

.所得税と住民税を収めていること

 

.次の健診や検査のうち、1年間(1月~12月)にどれかを受けていること

  • 特定健康診査(メタボ検診)
  • 予防接種(インフルエンザ等)
  • 定期健康診断(事業主健診)
  • 健康診査(自治体や保健所での健診

 

.1年間(1月~12月)までで、対象となるスイッチOTC医薬品を12,000円以上購入している(扶養家族分も合算されます。なお、上限は88,000円です。)

 

4.適用される医薬品、具体的には何?どこで買えるの?

適応される医薬品、具体的にはなに?どこで買えるの?と保健師が言っている画像

 

2017年2月14日現在、厚生労働省のWebサイトには1601品目の医薬品が、『セルフメディケーション税制』の対象製品となっています。

 

なお、表示義務はありませんが、 次のような識別マークが表示されることもあります。

 

セルフメディケーション税控除対象マークの画像

 

具体的な医薬品目については、次のサイトを参照してください。

 

 

なお、厚生労働省は対象となる医薬品について、必要に応じて2か月に1回、更新することを予定だそうです。


ですから、都度、該当する医薬品がこの税制の対象になっているかどうかを確認することが必要があります。

 

5.OTC医薬品の基礎知識

OTC医薬品の基礎知識と保健師が言っている画像

 

OTC(Over the Counterの略語)医薬品とは 、医師の処方箋がなくてもドラッグストアや薬局で直接買うことのできる医薬品のことを指します。

 

医師に処方してもらうのは「医療用医薬品」と呼び、これにたいしてOTC医薬品は「要指導医薬品」と「一般用医薬品」とに分類されています。

 

かつては「大衆薬」「市販薬」などと呼ばれていましたが、その国際的呼び名といえます。

 

2016年12月現在、日本ではOTC医薬品は1555品目が販売されています。

 

このうち、要指導医薬品と一般用医薬品の第1類は、薬剤師による情報提供が義務付けられています。

 

また、一般用医薬品の第2類と第3類とは、薬剤師か登録販売者による情報提供が奨励されています。

 

『セルフメディケーション税制』の対象となるスイッチOTC医薬品は、もともと医療用として使用されていた医薬品を、有効成分や服用方法、用量がまったく同じまま、市販されている医薬品のことを指しています。


そのほとんどが「要指導医薬品」や「第1類医薬品」に該当します。


そのため、市販されてはいますが、これらに該当するものについては、薬剤師の情報提供が義務付けられています。


しかし、病院に行かずとも薬が買えるのは便利ですよね。

 

そして、これらを1年間に12,000円以上購入すると、『セルフメディケーション税制』の対象になります。

 

6.どんな申告が必要なのか

どんな申請が必要なのかと保健師が言っている画像

 

『セルフメディケーション税制』の適用を受けるには「確定申告」が必要です。

 

その際必要となる証明書類は次のようなものです。

 

●スイッチOTC医薬品を購入した証明書

購入した医薬品が対象商品(スイッチOTC医薬品)かどうかを確認するために、次の事項を記載した「領収書」か「レシート」が必要になります。

 

  • 商品名
  • 金額
  • その商品がセルフメディケーション税制対象商品である旨
  • 販売店名
  • 購入日

 

スイッチOTC医薬品を購入した時は、必ずレシートか領収書を発行してもらい、以上の情報が記載されているかどうかをチェックしましょう。

 

万一、これらが記載されていない場合はお店に確認をして、確定申告まできちんと保管しておきましょう。

 

●健診等の証明

『セルフメディケーション税制』では、上記「どんな人が対象になるの?」の項で説明したように、定期健診を受けるなど、セルフメディケーションを実行している方たちに与えられる、医療費控除の特例制度です。

 

そのため、「健康の保持増進および疾病の予防へのおもな取り組み」を実際に行ったという証明が必要です。

 

具体的には健診の「領収書」や「結果通知表」などの証明書類を確定申告のときに提出していただくことになります。

 

領収書」の場合は原本を、「結果通知表」の場合はコピーでも可です。

 

ただし、「結果通知書」の場合、健診結果部分は個人情報のため不となりますので 、結果部分を黒塗りまたは切り取って提出する必要があります。

 

提出書類に記載する必須項目は次の3項目です。

 

  • 氏名
  • 取り組みを行った都市(2017年1月1日以降で、確定申告の対象となる年(1月1日~12月31日)と同一の年に受診したものであること
  • 事業を行った保険者、事業者名もしくは市町村の名称、または診察を行った医療機関の名称、もしくは医師の氏名

 

ご参考までに、各種健診の種類別必要書類をあげておきます。

 

●特定健康診査(メタボ健診)

領収書または結果通知書、あるいは証明依頼書

 

●予防接種(インフルエンザ等)

領収書または予防接種済証

 

●定期健康診断(会社などの事業主健診)

結果通知書、あるいは証明依頼書

 

●健康診査(人間ドックや自治体や保健所での健診など)

領収書または結果通知表、あるいは証明依頼書

 

●がん検診

領収書または結果通知表

 

提出書類に事業者名等の名称が記載されていない場合、勤務先や保険者に「定期健診」である証明をしてもらってから提出をする必要があります。

 

そのために必要になってくるのが「証明依頼書」で、厚生労働省のウェブサイトにフォームが用意されています。


以下のサイトの「4.健康の保持増進及び疾病の予防への取り組み(一定の取組み)の証明方法について」を参考にしてください。

 

 

7.セルフメディケーション税制の注意点!

セルフメディケーション税制の注意点と保健師が言っている画像

 

●従来の医療費控除と併用できるのか?

病気の治療やリハビリなどに使う医療費。

 

ご自分や扶養家族も含めると、1年間に使った費用が相当な金額になってしまう場合もあります。

 

1年間に使った医療費の合計が10万円を超えると、確定申告のときに還付金を受け取ることができます。

 

これが医療費控除です。

 

サラリーマンなど給与所得のある人は、所得税の年末調整を会社がやってくれますが、医療費の支払いまでは会社に届けないので、控除を受けるためには、自分で確定申告を行う必要があります。

 

個人事業主の場合もこの点は同じです。

 

ですので、確定申告の基本的な手続きを知っておきましょう。

 

確定申告の手続きについては以下のサイトを参考にしてください。

 

 

また、医療費控除の詳細については次のサイトを参考にしてください。

 

 

さて、今回の『セルフメディケーション税制』は、確定申告時の医療費控除の特例という位置づけですので、従来の医療費控除制度とセルフメディケーション税制とを同時に利用することはできません

 

これまでのように10万円を超える医療費の所得控除を受けるか、スイッチOTC医薬品を12,000円以上購入したことへの『セルフメディケーション税制』で所得控除を受けるかは、申告者となるあなたが選択することになります。

 

●ほんとにおトクなの?

『セルフメディケーション税制』を活用すると、どれくらいの減税が可能なのでしょうか?

 

たとえば、課税所得額400万円の人が、対象医薬品を1年間に5万円購入した場合を考えてみましょう。

 

控除額

50,000円(対象医薬品の購入額)-12,000円(下限額)=38,000円

 

この場合、38,000円が課税所得額から控除されます。

 

★減税額

●所得税:

38,000円(控除額)×20%(課税所得額400万円の人の所得税率)=7,600円

 

●個人住民税:

38,000円(控除額)×10%(個人住民税率)=3,800円

 

合わせて、11,400円の減税効果があります。

 

これまで、1年間(1月1日~12月31日)に、自己負担した医療費の合計が10万円を超えないと医療費控除は受けられませんでした。

 

しかし、『セルフメディケーション税制』では、定期健診や予防接種を受けていれば、対象となる市販薬(スイッチOTC医薬品)を、家族の分も含めて年間12,000円以上購入すると、確定申告することで所得控除が受けられるようになります。

 

8.セルフメディケーション税制にチャレンジしよう!

セルフメディケーション税制にチャレンジしよう!と保健師がいっている画像

 

とくに給与所得者(サラリーマン)などでは、これまで確定申告はしなかったというご家庭も少なくないかもしれません。

 

手続きは当初は少々面倒だと感じるかもしれませんが、 インターネットを使った申告もできますので、この機会に医療費控除のことを考えてみてはいかがでしょうか?

 

※この記事を執筆いただいた専門家の方

女性専門家

執筆:保健師 藤尾 薫子
株式会社とらうべ所属

株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン。

 

※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。

 

 

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藤尾薫子

【保有資格:看護師/保健師】医療の現場は日進月歩です。日々変化している中で、より新しいものをお伝えしたいと心がけています。

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