【管理栄養士が解説】大豆とコレステロールの関係とは?
この記事の執筆専門家
管理栄養士 山本ともよ (株式会社とらうべ)
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中。
※本記事は、管理栄養士の方に執筆いただいたものを健康チョキンにて編集しております。
1.はじめに
大豆といえば、古くから日本の食卓に並ぶおなじみの食材ですね。
また、大豆がカラダに良い、というのも広く知られています。
大豆にはさまざまな健康効果がありますが、そのひとつとして、コレステロールを減らす働きが挙げられます。
とくに健康診断などでコレステロールの高さを指摘されている人は大豆の効果に興味津々のはず。
そこで、大豆とコレステロールの関係について解説します。
2.コレステロールが増えることによる影響
「コレステロールが高いと、身体に悪い」というイメージを持っている人は多いでしょう。
でも、そもそもコレステロールとはどういうもので、増えるとどのような影響があるのでしょうか?
コレステロールは脂質の一種で、全身の細胞膜や胆汁、男性ホルモンや女性ホルモン、副腎皮質ホルモンなどの材料になる物質です。
そのため、コレステロール自体は身体にとって必要なものといえます。
体内のコレステロールは、70~80%が肝臓で作られ、残りの20~30%は食事から摂取され、小腸で吸収されています。
コレステロールは、「悪玉」といわれるLDLコレステロールと、「善玉」といわれるHDLコレステロールの2種類に分けられます。
LDLコレステロールには肝臓で作られたコレステロールを全身へ運ぶ役割が、HDLコレステロールには体内でいらなくなったコレステロールを回収し、肝臓へ戻す役割があります。
通常は、これらが良いバランスで保たれていますが、何らかの原因でバランスが崩れ、血液中のLDLコレステロールの量が増えてしまうことがあります。
すると、LDLコレステロールが血管壁にたまってしまい、血管のしなやかさが失われて、病気の原因となります。
3.大豆の成分
では、なぜ大豆がコレステロールを下げるといわれているのでしょうか?
それを知るために、まずは大豆の成分についてみていきましょう。
文部科学省の「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」によると、大豆はおもに次の成分で構成されています。

●大豆の主な成分
・たんぱく質(33.8%
・炭水化物(29.5%)
・脂質(19.7%)
・食物繊維(17.9%)※水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の合計
・水分(12.4%)
・灰分(かいぶん=ミネラル4.7%)
※国産黄大豆、乾燥、可食部100gあたり
これを見てもわかるように、大豆はたんぱく質が豊富な食品です。
たんぱく質は身体を作る上で不可欠な栄養素で、肉や魚、卵、牛乳に含まれる動物性たんぱく質と、大豆や野菜などに含まれる植物性たんぱく質に分けられます。
一般的に、植物性たんぱく質は動物性たんぱく質に比べて栄養価に偏りがあるといわれていますが、大豆に含まれる植物性たんぱく質(大豆たんぱく質)は動物性たんぱく質に引けをとらないほど、栄養価が高いといわれています。
このような理由から、大豆は「畑の肉」などとも呼ばれています。
4.大豆がコレステロールを減らす理由
大豆が持つコレステロールを減らす働きに関係しているのは、上で挙げた大豆の成分の中でも大豆たんぱく質、食物繊維、サポニン、レシチン、大豆イソフラボンなどです。
●大豆たんぱく質
大豆たんぱく質は、おもにグリシニン、β-コングリシニン、LPという3つのたんぱく質によって構成されています。
このうち、LPにはLDL(悪玉)コレステロールを下げる作用があることがわかっています。
また、β-コングリシニンには高い中性脂肪を下げる作用があります。
中性脂肪が増えすぎると、HDL(善玉)コレステロールを減らしてLDL(悪玉)コレステロールが増えてしまうため、β-コングリシニンの中性脂肪を下げる効果も、コレステロール値の改善には重要です。
●食物繊維
大豆には、水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維の両方が含まれています。
このうち、水溶性食物繊維にはコレステロールを吸着し、外へ出す作用があります。
●レシチン
レシチンにはコレステロールの量を調節する作用があります。
レシチンは脂質の一種で水と油を乳化させる働きがあり、血液中(水)でコレステロール(油)が円滑に運ばれるよう働いています。
また、肝臓でコレステロールが作られる量を調節しています。
●サポニン
サポニンには「過酸化脂質」を作りにくくする作用もあります。
過酸化脂質とは、脂質が酸化することでできる物質の総称です。
血管内でコレステロールや中性脂肪が酸化すると、血管のつまりなどを起こして病気の原因にもなるため、サポニンには強い抗酸化作用があり、これらを予防する効果も期待できます。
●大豆イソフラボン
イソフラボンは、女性ホルモンのひとつ「エストロゲン」と似た作用(エストロゲン様作用:ようさよう)を持っています。
エストロゲンには、LDLコレステロールを下げる作用がありますが、大豆イソフラボンにもこの作用があることがわかっています。
このように大豆にはコレステロールを減らす作用を持つ栄養素がたくさん含まれています。
ただし、大豆製品をたくさん摂っていればコレステロール値を改善できるわけではありません。
バランスの良い食事を心がけた上で、大豆製品を摂りましょう。
※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:管理栄養士 山本ともよ ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
株式会社とらうべ所属
〈参考〉
・https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-012.html
・http://www.j-athero.org/general/colqa.html
・http://cp.glico.jp/story/daizu/nutrition.html
・http://www.oil.or.jp/info/76/page07.html
・日本食品標準成分表2015年版(七訂)
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この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 管理栄養士(121)
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