【妊婦さんの便秘】原因と解消方法とは?
「これまで悩まされたことがなかった」という人でも、妊娠中は経験することが多い便秘。
妊娠中は、カラダやココロの変化に敏感になりやすい時期。
マタニティ・ライフを快適に過ごすためにも、便秘になる原因や解消法を知りましょう。
1.妊娠中に便秘になるのはナゼ?
◯女性ホルモンによる影響
妊娠中は、腸の動きが鈍くなるため、便秘になりやすくなります。
なぜなら、妊娠中の身体と赤ちゃんを守るホルモンのひとつ「プロゲステロン」が腸に影響を与えるからです。
プロゲステロンには、「平滑筋(へいかつきん)」という筋肉を緩める作用があります。この平滑筋は子宮や腸を構成している筋肉であるため、妊娠中はこれらの筋肉が緩むことになります。
プロゲステロンが作用し、子宮の筋肉が緩むことは、赤ちゃんを守る上で必要なことです。しかし、腸の筋肉が緩むことは、便を運ぶ収縮の動きが鈍くなることにつながるため、便秘になりやすくなるのです。
◯子宮が大きくなることによる影響
妊娠中の便秘には、もうひとつ大きな原因があります。
それは、子宮が大きくなっていくことです。
子宮の後ろには腸があるため、子宮が大きくなると腸が圧迫されて動きづらくなります。また、後ろにある腸を圧迫するだけではなく、上にある横隔膜や周りにある腹筋群も圧迫します。
横隔膜や腹筋群が圧迫されると、息を吸ったときの横隔膜の下がり幅が少なくなります。すると、肺の広がりが浅くなる(呼吸も浅くなる)だけでなく、横隔膜の下にある腸への刺激が少なくなります。
このように、腸の周囲からの影響を受けることで動きが鈍くなり、便秘になってしまいます。
2.妊婦が便秘であることの問題点
便秘はマイナートラブルといわれていて、不快な症状のひとつです。しかし、ただ不快なだけでなく、次のような問題が生じるので、しっかりと改善に取り組んでいく必要があります。
(1)便秘が続くとお腹が苦しくなって、食欲がなくなる
(2)食事量が不足するので、さらに便秘になる
(3)便が腸に滞留すればするほど、硬い便になり、痔の発生・悪化を招く
(4)無理にいきむなど、おなかの力に頼って無理に排便しようとする状態が続くことで、骨盤底筋への負担がかかる
(5)腹部膨満や無理な排便習慣によって、お腹の張り(子宮収縮)や切迫早産のリスクが高まる
3.生活習慣の見直しで、予防・解消しよう!
妊娠中の便秘に取り組むためには、生活習慣の見直しがとても大切です。
「これまでの生活を変えなければいけないの?」などと、難しいことのように感じるかもしれませんが、便秘はちょっとした工夫で改善に向かうことがあります。
ですから、細かな面ですが、以下のようなことをひとつひとつ見直してみてはいかがでしょうか。
★食習慣★

欠食せずに食事を摂る
ただし、つわりで食事量が減っている時期は無理をしない。

食物繊維を上手に摂る
腸の掃除をしたり、腸内環境を整える水溶性食物繊維(キノコ類、海藻類、納豆、おくら、アボカド、大麦など)と、便のかさ増しや腸の動きを促してくれる不溶性食物繊維(豆類、ゴボウ、切り干し大根、おからなど)の両方を摂るように意識すること。
★排便習慣★

排便のタイミングを逃していないか確認
1日のうち、便意が現れた時間帯とその前後の行動を振り返り、逃さずにトイレに行けるように調整してみる。
例:家を出てから出勤までの間に便意があるが、つい昼食時まで我慢してしまう場合。
対策:起きる時間を早めて出勤前にトイレに行く、少し早めに家を出て、出勤途中の駅などでトイレに行く、出勤してからトイレに行ってから始業するなど。

胃腸の動きに合った生活リズムにする
床→飲食→排泄の流れが理想的。
★運動と休息とストレスケア★

適度な運動や活動を習慣化する
ただし、切迫早産などで、安静にしている必要がある場合の活動は主治医や助産師に相談すること。

睡眠を十分にとる
寝苦しくなり、中途覚醒をすることもあるが、質の良い睡眠や休息を確保するように心がけること。緊張した胃腸も、質の良い睡眠や休息をとることで、動きが活発になる。
4.薬による解消法
妊娠前から便秘があるという女性も少なくはないでしょう。
これまで使用している薬でも、妊娠中には使えない薬もあることから、自己判断で便秘の内服を継続しないようにしましょう。
また、生活習慣のみでは改善しない場合もあるため、薬を使用した方が良いかどうかも含めて、医師に相談してみましょう。
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※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:助産師 座波 朝香 ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
株式会社とらうべ所属
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座波朝香

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この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 助産師(17)
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