【看護師が解説!】ラクトフェリンは便秘にも良いの?
1.はじめに
ヒトをはじめとする哺乳類の母乳中に含まれるラクトフェリンには、さまざまな効果があるといわれています。
抗菌・抗ウィルス作用や免疫力を回復させる効果など、わたしたちのカラダを守るはたらきはもちろん、便秘の改善にも効果が期待されるものとして注目されています。
つらい便秘の改善のために、ラクトフェリンはどのようにはたらくのか、「腸内環境」をキーワードにみてみましょう。
2.便秘ってどんな状態?
よく「1日1回出ないと便秘?」などといいますね。
でも、排便回数や排便量といった排便パターンは個人差が大きいため、便秘という状態を明確に定義づけるのは難しく、必ずしも「1日1回でなければ便秘」とはいえないものです。
たとえば、「いつもに比べて回数が少なくなった」とか、毎日出ていたとしても、次のような自覚症状がともなう場合、便秘と捉えることができるでしょう。
- 便が硬い
- 便の量が少ない
- 便は普通に出るが、残便感やお腹が張るような症状が重なる場合
- 排便に時間がかかる
- 排便時にお腹を手でおさえるような排便困難がある場合
ですから、「2日に1回」だとしても、このような症状がない場合には必ずしも便秘とはいえず、その人に合った排便パターンともいえるでしょう。
3.便秘解消のカギは?
セルフケアできる便秘予防や対策にはいろいろありますが、中でも腸内環境をととのえることは、便秘を解消する上でのキーポイントになります。
ヒトの腸管内には、多種多様な100兆個以上の数の細菌がすんでいて、以下の3つ菌から構成されています。
①.カラダに良いはたらきをする「善玉菌」
悪玉菌の定着・増殖などをおさえ、腸の運動を促し、有害物質を体外に排出する助けをして腸の調子をととのえる。
免疫細胞を活性化させるなどの作用がある。
②.カラダに悪いはたらきをする「悪玉菌」
腸内で、有害な物質をつくり出す。
増えると便秘や下痢など腸の調子を悪くする。カラダ全体の免疫力を低下させる作用などがある。
③.善玉菌または悪玉菌の優勢な方に味方して作用する「日和見菌」
腸内環境をととのえるためには、この善玉菌:悪玉菌:日和見菌のバランスを2:1:7に保つことがベストといわれます。
つまり、日和見菌7割以外の3割のうち、悪玉菌より善玉菌がより多く占めることができれば、日和見菌も善玉菌に味方して、同じように作用し、腸内の環境が良いバランスになる、ということです。
しかし、このバランスは、年齢や体調、食生活をふくむ不摂生な生活やストレス、抗生物質などの薬の服用などによって影響され、日々変化します。
ですから、食生活のリズムをととのえ、バランスよく食べることや、適度な運動やストレスをためないこと、排便習慣をつけることなどが腸内環境を整える上で大切となってくるのです。
4.ラクトフェリンと便秘解消との関係は?
乳酸菌などとならんで腸内環境を整える効果が期待される成分に、ラクトフェリンがあります。
この名前は「ラクト」=「乳」、「フェリン」=「鉄」に由来していて、鉄と結合する性質があることで知られるタンパク質の一種です。
腸内では、いわゆる悪玉菌が増殖するときに鉄を必要としますが、ラクトフェリンは、その性質を発揮して、悪玉菌から鉄を奪って生育を抑制するため、善玉菌が優勢な腸内環境バランスを作るはたらきがあるのです。
また、ラクトフェリンには、善玉菌の代表ともいえるビフィズス菌を増やすはたらきもあるといわれます。
このように、ラクトフェリンには腸内環境をととのえる整腸作用があることから、便秘改善につながる効果が期待されているのです。

●ラクトフェリンの効果
・善玉菌が優勢な腸内バランスにする働きがある
・ビフィズス菌を増やす働きがある
ラクトフェリンは、ヒトの母乳や哺乳類の乳に多く含まれるので、乳製品からラクトフェリンを摂取する方法もあります。
しかし、一般的に熱に弱い性質を持つため、低温殺菌されたような一部の乳製品にごく少量ふくまれるものの、高温殺菌された市販の乳製品や牛乳にはほとんど含まれません。
そんな中、最近ではカラダに良い働きをもたらすことが期待されるラクトフェリンに注目が集まり、ラクトフェリンの活性をキープしたまま大量に取り出す技術開発がなされています。
サプリメントやヨーグルトなど多様な製品に応用されていますから、効率よく手軽に摂取するために、これらを利用するのもひとつでしょう。
※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:看護師 助産師 青井梨花 ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
株式会社とらうべ所属
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青井梨花

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この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 看護師(35)
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