【つらい花粉症】その種類と症状・症状別予防法と改善法
この記事の監修専門家
南部 洋子(助産師、看護師)
春先になるとつらくなってくる花粉症。
しかし、実は1年中、その症状に悩んでいる方も多いのではないでしょうか?花粉症は、春だけの症状ではないのです。
また、風邪だと思っていたものが実は花粉症だった…というケースも多く見られます。
今の時期にくしゃみや鼻水などで悩んでいる方は、もしかしたらそれは花粉症の症状かも?!
そこで今回は、花粉症について、その種類や症状、花粉症のメカニズムから予防法、ほかにも、薬だけではなく、取り入れたい食べ物や生活習慣、ツボ押しなど、お金をかけずに対処する方法もまとめてみました!
花粉症で悩んでいる方はもちろん、「花粉症かもしれない?」と思った方は、ぜひ参考にしてみてください!
1.花粉症とは?
春になるとくしゃみや鼻水、涙が止まらない…。
花粉症は、悪化すると夜も眠れないような辛い症状が特徴的です。2008年に行われた全国疫学調査では、日本人の29.8%が花粉症に悩んでいるという結果がでています。
地球温暖化が叫ばれている今、花粉飛散量は増加傾向にあり、これからも増えていくことが予測されます。
そもそも、何が花粉症を引き起こしているのかご存知でしょうか?
花粉症とは、アレルギー反応のひとつ。花粉アレルギーの人は、花粉が体内に入るとそれに対する抗体を作ります。この抗体の量が一定数を越えてしまうと免疫機能が過剰に反応し、花粉を外に追い出そうとしてくしゃみや鼻水、涙を出します。これが花粉症の症状です。
つまり、季節によって飛散する花粉も異なるため、その花粉に反応するかで花粉症の症状は1年中、起こりうるのです。
花粉症になってしまう原因には、遺伝や食生活、住環境などが挙げられます。また、花粉に多くさらされる環境にある方も、花粉症になりやすいといわれています。
2.季節ごとに違う、花粉症の種類と症状
季節別に花粉の種類や症状を見ていきましょう。
●春 ~花粉症が最もつらい季節~
花粉症といえばやはり、花もほころぶ春ですよね。実際に花粉がもっとも多く飛散する季節で、花粉症の方が一気に増加します。
中でもスギ花粉が有名で、2〜4月の初春から飛び始めます。ネズも北海道を除く全国で飛ぶ花粉で、ピークは4〜5月。そのほかにもハンノキやコナラ、シラカンバ、オオバヤシャブシ、リンゴの花粉、関東以南ではヒノキ花粉などもこの春の時期に飛散します。
症状としては、花粉症の代表的なくしゃみや鼻水、涙が出るのが一般的です。
●春の花粉 ・スギ花粉・ネズ・ハンノキ・コナラ・白樺・オオバヤシャブシ・リンゴ花粉・ヒノキ
●夏 ~夏になって症状が悪化する人も…
夏の花粉症も、症状は春と同じです。春先は大丈夫だったのに、夏になって症状が出る方は、この時期に花粉を飛ばすカモガヤなどが原因かもしれません。
そのほかにも、オオアワガエリ、ハルガヤ、ホソムギ、スズメノカタビラなどが夏の時期に花粉を飛ばします。これらは全国に分布するため、どの地域に住んでいても症状が出る可能性があります。
●夏の花粉 ・カモガヤ・オオアワガエリ・ハルガヤ・ホソムギ・スズメノカタビラ
●秋 ~風邪かも?と思ったら疑ってみよう!
秋から冬にかけては、花粉症なのに風邪と勘違いしてしまうことも多い時期。1週間以上症状が続いて、なおかつ鼻水が水っぽければ花粉症を疑ってみてください。
秋に花粉症を引き起こすおもな原因は、ヨモギやブタクサ、オオブタクサ、カナムグラ、ヒメスイバ、ギシギシ、カラムシなど。オオブタクサとカラムシは北海道にはありませんが、そのほかは全国に分布しています。夏同様に、どの地域に住んでいても注意が必要です。
●秋の花粉 ・ヨモギ・ブタクサ・オオブタクサ・カナムグラ・ヒメスイバ・ギシギシ・カラムシ
●冬 ~一番花粉が飛ばない季節~
冬は四季の中でもっとも花粉が飛ばない季節が冬です。
しかし晴れた日には、少しだけ飛んでいることも。特に、12月の暖かい日には秋の植物の花粉が飛んだり、1月中頃の暖かい日には春の花粉が飛び始めたりします。
秋と同じように風邪だと勘違いしやすいのですが、なかなか治らないのであれば花粉症の可能性があります。
●冬の花粉(可能性) ・スギ・ネズ・ヒノキ・ブタクサ・オオブタクサ・ギシギシ等
3.症状別の予防法、おすすめの薬
花粉症の症状といえば、くしゃみや鼻水が代表的ですが、そのほかにも鼻づまりや目のかゆみなど、人によって症状は異なります。
それぞれの症状別の予防法をご紹介します!
●くしゃみ、鼻水
花粉症の代表的な症状のひとつとして、水っぽい鼻水が止まらないという症状があります。
例えるならば、水道の蛇口を開けっ放しにしたかのような状態。同時にくしゃみが出る方も多く、この症状がとにかく辛い!という方がほとんどなのではないでしょうか?
このタイプの方は、第二世代抗ヒスタミン薬がおすすめです!
同じ抗ヒスタミン作用が強い薬で、第一世代抗ヒスタミン薬という薬もあります。
ただ、この薬は認知機能の低下を引き起こすことが指摘されています。さらに口の乾きや便秘が現れることもあるため、こうした副作用を改良した第二世代抗ヒスタミン薬がおすすめなのです!
第二世代抗ヒスタミン薬は、抗アレルギー薬とも呼ばれており、眠気の副作用が第一世代に比べて緩やかです。ただし、Ⅰ類はてんかんや熱性痙攣を悪化させる危険性があるため、痙攣がある方にも安全に用いられるⅡ類を使うと良いでしょう。Ⅱ類の中でも、クラリチン、アレグラ、ビラノアは、車の運転注意の記載がない薬です!
●くしゃみ、鼻水 :第二世代抗ヒスタミン剤 (クラリチン、アレグラ、ビラノラ)
●鼻づまり
鼻づまりに悩んでいる方は、上記の抗ヒスタミン薬だけでは症状が軽減しないことがあります。
その場合、点鼻薬を併用したり、体内のアレルギー反応を抑える作用がある、ロイコトリエン受容体拮抗薬を使うと良いでしょう。
このタイプの薬は、気管支を広げて喘息を抑える作用があります。他にも、アレルギー性鼻炎に使用されていることもあり、花粉症からくる鼻づまりにも有効だといわれています。プランルカスト錠112.5「EK」などの薬があります。
●鼻づまり :ロイコトリエン受容体拮抗薬 (プランルカスト錠112.5「EK」)
●目のかゆみ・充血
目のかゆみや充血の症状がある方は、かゆみの原因となるヒスタミンを抑える点眼薬を使ってみてください。クロルフェニラミンマレイン酸塩の入ったものがおすすめです。
かぜ薬や鎮咳去たん薬、口腔内殺菌トローチなどにも配合されている成分です。
●目のかゆみ・充血 :クロルフェニラミンマレイン酸塩入り目薬
4.花粉症の改善方法
花粉症は、実は、食生活や生活習慣が大きく影響している可能性もあるのです!
花粉症を改善する対策として、以下の項目をチェックしてみてください。些細なことでも試してみることで、和らぐ症状もあるかもしれません。
花粉症を改善させる対策のひとつとして、食べ物が挙げられます!
ショウガやブドウ、アザミには、抗酸化成分であるジンゲロール/ショウガオール、レスベラトロール、シリマリンが含まれ、花粉症の症状を緩和させ、改善する効果が期待できます。
また、シソにはαリノレン酸が含まれています。この成分は、体内でEPAやDHAに変化し、花粉症の症状を抑制してくれるます。シソにはロズマリン酸も含まれており、これは、ヒスタミンの遊離を抑制します。すなわち、こちらも花粉症の症状を抑えるのに有用なのです。
そのほか、DHAやEPAが多く含まれる青魚、抗酸化作用があるハトムギ、トマトもおすすめ。腸内環境を整えて免疫力を上げるものとしては、ヨーグルトや納豆があります。
ショウガ、ブドウ、アザミ、シソ、青魚、ハトムギ、トマト、ヨーグルト、納豆
逆に、亜硝酸塩などの過敏性を高めてしまうハムやソーセージ、末しょう神経を刺激するアルコール類、免疫系に悪影響を及ぼすファーストフードなどは避けたほうがいいでしょう。
ハム、ソーセージ、アルコール類、ファーストフード
毎日の生活習慣も見直すことも、花粉症を改善するには効果的です。
まずは、天候や時間によって花粉の飛び方が違うことを考えてみましょう。
花粉が多いのは、気温の高い晴天の日。また風が強かったり雨の翌日だったりするとより花粉が飛びやすくなります。
時間帯としては、昼過ぎや日没頃が要注意。天気が安定していると、日中の気温上昇とともに花粉が飛び、夜になると地上に舞い降りてきます。
このタイミングが、花粉が多くなる時間帯です。こうした花粉の多い日や時間帯は、なるべく外出を控えたほうが賢明です。
やむなく外出しなければいけない場合は、 マスクやメガネ、帽子などで可能な限り花粉との接触を避けましょう。湿ったガーゼをマスクの内側にはさむと、より花粉の侵入を防げます。花粉症防止用ゴーグルなども有効です!
また、帰宅したら家に入る前に衣類や髪の毛に付いた花粉を払いましょう。室内に花粉が入ると、家の中でも症状に苦しまされてしまいます。しっかりと花粉を落としてから家に入ってください。
帰宅後のうがいとシャワーも大切です。帰ったらすぐに行うようにしてみましょう。
もちろん、バランスの取れた食生活や、充分な睡眠を取ることも大切です。自律神経のバランスが良くなると、アレルギー症状が出にくくなります。
マスク・帽子・湿ったガーゼをマスクの内側にはさむ・花粉防止用ゴーグル
家に入る前に衣類や髪の毛に付いた花粉を払う、うがいとシャワーをする
気温の高い晴天の昼過ぎ~日没
花粉症による鼻水や鼻づまりに悩んでいる方は、ツボ押しを試してみてください!
鼻の付け根の両脇にある「睛明」、小鼻左右のふくらみの脇にある「迎香」と呼ばれるツボを押す。 左右の人差し指を30回程度擦り合わせ、温めます。そして、鼻筋の両側を、「睛明」から「迎香」に向かって上下にさする
耳の穴の手前にある小さなふくらみの中央部分には「外鼻」というツボがあります。人差し指を入れて外側から親指で挟み、2〜3分程度揉みほぐす。
耳の穴の下、切れ込みの内側にある「内分泌」というツボを、人差し指で30回ほど押す。
5.まとめ
花粉症のメカニズムから花粉症対策までご紹介してきましたが、あなたの悩みは解決できそうでしょうか?
今まで我慢するだけだったという方は、薬の成分にも気を遣ってみましょう。
食生活や生活習慣など、日頃から気をつけることができるものは、すぐにでも日常生活に取り入れてみてください!
花粉症になってしまったら、日々の生活を少しずつ改めることが大切です。ひとつずつ改善していくことで、つらい症状もきっと軽減されるはずですよ!
※この記事を監修して頂いた専門家の方 ●資格:助産師・看護師・タッチケアシニアトレーナー ●株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。 ※監修している内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、監修者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。 監修:南部 洋子(助産師、看護師)
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この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 看護師(35)
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