【管理栄養士が解説!】花粉症にはラクトフェリンって本当?!
この記事の執筆専門家
管理栄養士 山本ともよ (株式会社とらうべ)
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中。
※本記事は、管理栄養士の方に執筆いただいたものを健康チョキンにて編集しております。
1.はじめに
毎年、春や秋に花粉症に悩まされている人は多いのではないでしょうか?
眼鏡やマスクなどの対策をしていても、完全に防ぎきれないのが花粉症の厄介なところですよね。
最近では、いろいろな治療法も注目されていますが、そんな中、ラクトフェリンが花粉症に良いという話を耳にすることがあります。
そこで、ラクトフェリンの花粉症予防効果について解説します。
2.花粉症のメカニズム
花粉症は、花粉が原因で起こるアレルギー症状の総称で、鼻水や鼻づまり、喉のかゆみ、目のかゆみや充血などの症状が現れます。
また、ひどくなると発熱や頭痛、めまいなどがでることもあります。
では、なぜ花粉症を発症するのでしょうか?
花粉症の発症には、ヒトに備わる免疫機能が深く関係しています。
免疫機能は、細菌やウイルスなど外部から侵入してきた病原体などを攻撃し、さまざまな病気から身体を守るためのしくみです。
この免疫機能は、私たちの体内に複数存在する免疫細胞がその中核を担っています。
しかし、ときにこの免疫細胞は過剰に働いてしまい、花粉など、本来、身体にとって害のない物質を異物と認識してしまうことがあります。
すると、それを体内から排除するための反応が起こります。
免疫細胞が誤って花粉を「害があるもの」と判断すると、「抗体」が作られます。
抗体は、体内に異物が入ってきたときにそれを排除するために作られるもので、これがたまっていくと、「マスト細胞」と結びつきます。
マスト細胞は身体中に存在する細胞ですが、とくに皮膚や粘膜などに多く存在する細胞で、体内に抗体がたまるとアレルギー症状を引き起こす「ヒスタミン」という物質を分泌させます。
これによって、鼻水や鼻づまり、目のかゆみといった花粉症の症状が引き起こされるのです。
いいかえると、免疫細胞が正常に働き、花粉に対して過剰反応を起こさないようにすることで、花粉症の症状を軽減できる可能性がある、ということです。
3.ラクトフェリンはなぜ花粉症に良いの?
ラクトフェリンは、糖とたんぱく質が結びついた「糖たんぱく質」のひとつで、哺乳類の母乳に含まれています。
ヒトの母乳にも含まれていて、中でも出産直後から生後5日目くらいに出る「初乳」に多いことがわかっています。
また、鼻水や涙、粘膜、血液にも含まれています。
ラクトフェリンの特徴は、鉄を結合する力が強いという点です。
細菌の中には鉄をエサに増殖するものも多いので、ラクトフェリンを摂取することで、こうした細菌の生育や増殖を抑えることができます。
ほかにも、炎症を抑える作用があることがわかっています。
ラクトフェリンが持つ花粉症予防に関連するものとしては、免疫細胞に働きかける作用が挙げられます。
この作用によって免疫細胞が正常に働くと、花粉に対して過剰な反応が起こらず、アレルギー症状が起こるのを防ぐと考えられているのです。
さらに、ラクトフェリンには腸内環境を改善する効果が期待できます。
免疫細胞のおよそ6割は腸内に生息するといわれているので、ラクトフェリンによって腸内環境が整うと、免疫細胞が正常に働いて、花粉症を予防することも期待できます。
4.花粉症を予防したいあなたに!ラクトフェリンの摂り方
「花粉症の症状を少しでも軽くできるなら、ラクトフェリンを摂りたい!」と思った方も多いことでしょう。
先に述べたように、ほ乳類の母乳にラクトフェリンは含まれるため、牛乳や乳製品を摂れば、ラクトフェリンが摂取できるかのようにも思えます。
ところが、ラクトフェリンには熱に弱いという特徴があるため、加工の段階で加熱処理されることが多いこれらの製品にはほとんど含まれていません。
では、どうやって摂ればよいのでしょうか?
ラクトフェリンを摂る方法としておすすめなのが、「ラクトフェリン入り」と謳われた製品を活用することです。
これらの製品は、特別な製法で作られているため、ラクトフェリンを摂取することができます。
最近では、スーパーなどでも販売されているため、手軽に購入することができますね。
また、ラクトフェリンが配合されたサプリメントもあります。
これらの製品を継続して摂り、免疫力を高めるようにしましょう。
ただし、免疫力を高めるためには、ラクトフェリンだけを摂っていれば安心、というわけではありません。
免疫力は、寒さや加齢、睡眠不足、ストレス、偏った食生活などが原因でも低下してしまいます。
ですから、生活習慣を整え、その上でラクトフェリンを摂ることが重要です。
なお、ラクトフェリンの摂取量の目安については、現在のところ定めがありません。
また、たくさん摂り過ぎた場合の影響についても、今のところ確実なことはわかっていません。
安全性が高いとされている成分なので、大きな悪影響はないと考えられていますが、まれに下痢の症状がでることもあるようです。
そのため、摂取後の体調変化にも気を配り、症状が現れた場合は摂取量を見直したり、摂取自体を控えるなどして、対処するようにしましょう。
※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:管理栄養士 山本ともよ ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
株式会社とらうべ所属
〈参考〉
・http://www.chugaiigaku.jp/upfile/browse/browse1652.pdf
・http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000077514.pdf
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この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 管理栄養士(121)
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