【眠れない...】薬剤師が監修!眠りが浅い原因とぐっすり眠るための方法まとめ
この記事の監修者
薬剤師 宮本 知明
体のため、お肌のために睡眠時間を気にする人は多いですよね。
しかし、たくさん寝たのにいざ朝になるとすっきり起きられない、日中も体がだるいと感じることはありませんか?
これには睡眠時間そのものよりも「睡眠の質」が低いことが大きく影響しているんです。
睡眠への不満を感じる人は年々増加傾向にあります。
厚生労働省による平成25年「国民健康・栄養調査」によると、女性の43.0%が睡眠の質に満足していないことがわかりました。
睡眠時間をしっかり確保しているのに疲れが取れない、昼間に眠気を感じるのならそれは「熟眠障害」かもしれません。
今回は、そんな「熟眠障害」のメカニズム、深い眠りのためのNG行為、改善方法などをご紹介します!
普段眠りが浅いと思っている方は、是非参考にしてみてください!
1.熟眠障害が起きるメカニズム
◇熟眠障害って?
そもそも、眠りに関する悩みである睡眠障害には4つのタイプがあります。
〈睡眠障害の4タイプ〉
入眠困難 | 布団に入ってもなかなか寝付けない |
中途覚醒 | 夜中に何度も目が覚める |
早朝覚醒 | 朝早くに目が覚める |
熟眠障害 | 眠りが浅く、ぐっすり眠った気がしない |
その中でも熟眠障害とは、充分な睡眠時間を確保したにも関わらず「よく眠れた」という満足感が得られない症状です。
◇熟眠のカギはノンレム睡眠の量
熟眠感を得るためのカギは、深い眠りである“ノンレム睡眠の量”にあります。
睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2種類があり、私たちは眠っている間にこの2つを周期的に繰り返しています。
レム睡眠は体を休ませ脳内の記憶を整理する、ノンレム睡眠は脳を休ませ体をメンテナンスするという、それぞれに重要な役割があります。
〈レム睡眠とノンレム睡眠の役割〉
レム睡眠 | 体を休ませ、脳内の情報・記憶を整理する。 |
ノンレム睡眠 | 脳の睡眠状態。成長ホルモンを分泌し、体の疲労を修復する。 |
私たちは眠ることで疲れた脳と体を同時に修復しています。ところがノンレム睡眠の量が不十分だと脳の休息が不足し、「寝ても疲れがとれない」という熟眠障害の要因になってしまうのです。
2.眠りが浅い人がやってしまうNG行為
熟眠感のポイントとなる「ノンレム睡眠」の量を少なくさせている原因はさまざまに考えられます。
また生活スタイルなどによって、複数の要因が絡んでいるかもしれません。
ここでは、眠りが浅い人がやってしまいがちなNG行為をいくつかご紹介します!
◆ストレスを溜める
会社や家庭など、日々の生活の中でストレスはついつい生まれてしまうものです。
しかし不安やイライラで頭がいっぱいになるほどストレスをためてしまうと、眠りを浅くする原因になります。
朝起きてふと気づくと、眠りながら夢の中であれこれ考え事をしていた…なんて経験、ありませんか?ストレスが多いと、睡眠中に整理しなければならない脳内の情報が増え、レム睡眠の量が多くなります。その結果として、脳を休ませてくれるノンレム睡眠の量が少なくなってしまうのです。
◆冷え性
冷え性はさまざまな体の不調の原因になります。
睡眠に関して特に女性に多く見られるのが「手足が冷えて寝付けない」という声です。
質の高い眠りには、上手な「深部体温」の調整が大切です。
深部体温って?
深部体温とは体の中心部の温度のことであり、人は深部体温の下がり初めに眠気を感じます。就寝時に体が冷えた状態では、それ以上体温を下げることができないため、寝付きを悪くし、眠りの前半に多いノンレム睡眠へもスムーズに移行できません。逆に寝る直前に熱いお風呂に入るなど、深部体温を上げすぎてしまうと体温がなかなか下がらず、熟眠の妨げになるので注意が必要です!
◆不規則な生活による自律神経の乱れ
平日は寝不足なのに週末には昼過ぎまで寝てしまうなど、起床時間や就寝時間が不規則な生活により乱れた自律神経は、眠りを浅くしてしまいます。
自律神経には、脳や体の働きを活発にする交感神経と、反対にリラックスさせる副交感神経があり、私たちの体はこの二つの神経が交互に作用し、バランスをとっているのです。
〈交感神経と副交感神経〉
交感神経 | 活動している時に働き、脳や体の働きを活発にする。 |
副交感神経 | 休息している時に働き、リラックスさせる。 |
ところが不規則な生活で生活リズムが乱れると、このバランスが崩れてしまいます。睡眠中に優位になっているべき副交感神経がうまく機能せず、脳がリラックスできないことは、眠りが浅くなる原因のひとつです。
◆睡眠環境
寝ている間の環境も、睡眠の質に大きく影響します。
寝室の温度や湿度、明るさ、物音、ふとんやマットレスの硬さが合っているかなど快適と感じる状態は人それぞれですが、リラックスして眠れる環境を整えたいですね。
一般的に快適と感じる寝室の温度は夏で26℃前後、冬で17.5℃前後と言われていて、理想的な湿度は50%前後とされています。
〈理想的な寝室の環境〉
夏 | 冬 | |
温度 | 26℃ | 17.5℃ |
湿度 | 50% |
寝る前にパソコンやテレビを見ること、音楽をかけたまま寝ることは脳を興奮させるので、睡眠の質を下げてしまうので要注意です!
◆食べてすぐに寝る
例えば食生活でついついやってしまいがちなのが、夜遅くに食べてすぐ寝てしまうことです。胃の中に食べ物が残ったまま眠ってしまうと、寝ている間も胃腸の働きが活発になるため、ノンレム睡眠に入りにくくなってしまいます。
◆寝酒・晩酌
寝酒や晩酌をするのも注意です!寝酒や晩酌をすることで寝付きが良くなると感じている人も多いかもしれませんが、アルコールに含まれるアセトアルデヒドという成分が交感神経を刺激し、眠りを浅くさせてしまいます。
◆カフェインの摂取
カフェインを含むコーヒーや紅茶、栄養ドリンクなどは神経をたかぶらせて睡眠を妨げることはよく知られていますが、驚くべきことにカフェインの覚醒作用は、長い場合8時間以上ともいわれています。昼間の眠気対策で飲んだコーヒーが、夜の眠りを邪魔する…なんてことも十分にありえるんです。
また夜ぐっすり眠るためには、適度に疲労が溜まっていることも重要です!1日中家で過ごして体を動かさない、長く昼寝をする習慣は眠りを浅くしてしまいます。
まとめ
浅い眠りの原因は…
- ストレスが溜まっている
- 深部体温が低い(高い)
- 不規則的な起床・就寝時間
- 寝室の環境(温度・湿度・明るさ・音など)
- 食べた後すぐに寝る
- 寝酒・カフェインの摂取
- 疲労が十分に溜まっていない
3.熟眠障害の改善方法
同じ睡眠時間であっても、しっかりと眠ることができれば、脳と体の回復度合いは格段に違ってくるんです。
ノンレム睡眠の量を増やしぐっすり眠るための方法をご紹介します!
◇まずは生活習慣の見直しから
ぐっすりと眠るため、定期的な運動を心掛けましょう。
寝る4~6時間前に運動し、深部体温を上げることで寝付きをよくする効果が期待できます。昼寝は20~30分、15時前にするのであれば夜の睡眠に影響がありません。
睡眠時間にはこだわりすぎず、毎日の起床時間を同じにして起床後に太陽の光を浴びることもおすすめです。一般的に、朝の7時頃に太陽の光を浴びると夜の21~23時頃に体内でメラトニンの分泌が増え、睡眠を促すといわれています。就寝2~3時間前にぬるめのお風呂に入り、心身ともにリラックスすればスムーズに眠りにつくことができます。
◇食事のタイミングと内容
食生活を見直すことでも、睡眠の質は改善できます。食事を3食決まった時間に、できるだけ睡眠の3時間前には済ませるのが理想です!残業などでどうしても夕食が遅くなるようであれば、脂っこいものや炭水化物など消化の悪いものは避けたほうがいいでしょう。
カフェインが入ったもののとり過ぎに注意し、寝る前のアルコールも避けたほうが望ましいです。
また、私たちの体は睡眠前にメラトニンというホルモンが分泌されることで、副交感神経が優位になり眠りにつく仕組みになっています。メラトニンの分泌を促すと言われているのが、トリプトファンという必須アミノ酸です。
ゴマ、チーズ、肉、牛乳、バナナなど
◇寝る前のリラックスタイム
寝る前に1日頑張った体と心の緊張を緩め、リラックスした状態を作ることも熟眠へのアプローチとして効果的です。
以下に紹介するものは、手軽に心身をリラックスさせ熟眠感のアップが期待できそうです。ぜひ、自分に合った方法を試してみてください!
◯腹式呼吸
しっかりと息を吐きだした後、お腹を膨らませるイメージでゆっくり鼻から息を吸い込みます。吸いきったら、口から少しずつ息を吐きだします。これを何度か繰り返すことで、体と心がゆったりしてくるのを感じられるでしょう。
◯ストレッチ
腹式呼吸を意識しながら、筋肉や関節を緩めるストレッチも熟眠に導いてくれるようです。寝たままの姿勢で手足を上に上げてぶらぶらと振るなど、負荷をかけない程度に体を動かし、コリをほぐすことがポイントです。
◯自然の音を聞く
川のせせらぎや波音などが収録された、リラクゼーションCDを聴くことも、癒し効果が高いようです。寝る前にパソコンやスマホを見る代わりに、目を閉じて自然の音に聞き入れば、穏やかに眠りにつけることでしょう。
◯ツボ押し
頭のてっぺんにある百会というツボ、耳の後ろの骨のでっぱり下から1.5㎝ほど顔側に下がったあたりにあるツボ、足裏のかかと中央線と、内くるぶし、外くるぶしを結んだ交点にあるツボの3つは熟眠効果が高いようです。
いずれも自分で押すことができる場所にありますので、痛みを感じない程度にゆっくりと指圧してみてください。
◯アロマキャンドル
キャンドルの炎は間接照明的な落ち着きがあり、就寝前の気分を落ち着かせてくれます。最近は香りの種類も豊富にありますので、中でも睡眠に適したものを選ぶとよいでしょう。炎のゆらぎと香りの相乗効果でリラックスできます!
4.まとめ
いかがでしたか?
日頃の生活習慣や食事内容などのちょっとした心がけで、浅い睡眠を改善し熟眠感をアップさせることができます!
できそうなことからひとつずつ改善していけば、明日からの生活が違ってくるかもしれません。
是非参考にしてみてくださいね!
※この記事を監修して頂いた専門家の方 監修:薬剤師 宮本 知明 ●卒業大学:国際医療福祉大学 薬学部 薬学科 卒業 ※監修している内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、監修者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
●勤務先履歴:国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 薬剤部 勤務
●現在の勤務先:東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科 勤務
●医療・健康分野中心にフリーライターとして活動
●保有資格:薬剤師/GAJ認定ジェモセラピスト(植物療法士)/漢方ソムリエ
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この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : サプリメントマイスター(108) 薬剤師(12)
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