【管理栄養士が解説!】腸内環境にラクトフェリン!その理由って?
この記事の執筆専門家
管理栄養士 山本ともよ (株式会社とらうべ)
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中。
※本記事は、管理栄養士の方に執筆いただいたものを健康チョキンにて編集しております。
1.はじめに
便秘や下痢など腸にまつわるトラブルに悩まされていませんか?
最近では、乳酸菌をはじめ腸内環境に良いとされる菌や成分が含まれた製品をよく見かけるようになりました。
たんぱく質の仲間である「ラクトフェリン」もそのひとつ。
けれども、ラクトフェリンがなぜ腸内環境に良いといわれているのか、その理由を知っている人は少ないかもしれません。
そこで、腸内環境とラクトフェリンの関係について解説していきます。
2.良い腸内環境と悪い腸内環境
ラクトフェリンのお話をする前に、まずは腸内環境についておさらいしておきましょう。
私たちの消化管内に生息する細菌の数は、1000種類、100兆個にものぼるといわれていて、腸内にも数多くの細菌が存在しています。
けれども、これらの細菌がすべて身体にとって良い働きをしてくれるわけではありません。
腸内細菌には、腸の中で健康を維持する上で必要な物質を作り出す善玉菌と、反対に有害な物質を作り出す悪玉菌、さらに、腸内の環境によってその性質を変化させる日和見菌が存在します。
いわゆる「良い腸内環境」とは、善玉菌が悪玉菌よりも優勢な状態を指し、腸内細菌の比率が「善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7」であると理想的な腸内環境といわれます。
一方「悪い腸内環境」とは、悪玉菌が善玉菌よりも優勢な状態を指します。
腸内環境が悪化すると、腹部に膨満感が出る、おならの臭いがきつくなる、下痢や便秘になるなどの症状が現れるようになります。
3.ラクトフェリンが腸内環境に与える影響
さて、なぜラクトフェリンが腸内環境に良いといわれているのでしょうか?
ラクトフェリンは、母乳に含まれる糖たんぱく質(糖とたんぱく質が結合したもの)です。
ヒトの母乳をはじめ、牛乳などに多く含まれるほか、血液、涙、唾液、鼻水などにも含まれています。
ラクトフェリンの大きな特徴として、鉄結合性、つまり、鉄を結合する力がほかのたんぱく質などと比べて、かなり強いことが挙げられます。
体内の細菌には鉄をエサとして増殖するものが多く、腸内に生息する悪玉菌も例外ではありません。
そのため、腸内に鉄がたまると悪玉菌は増殖していき、腸内環境を悪化させる可能性があります。
そこで、腸内環境にとって効果的に働くのがラクトフェリンです。
ラクトフェリンは、その高い鉄結合性によって、悪玉菌のエサとなる鉄を自分のところに引き寄せ、悪玉菌が増殖しにくい環境を作ってくれます。
一方で、ビフィズス菌や乳酸菌といった善玉菌は、増殖するのにそれほど鉄を必要としません。
むしろ、増殖が促される可能性も指摘されています。
ですから、ラクトフェリンを摂ることは、悪玉菌の増殖を抑えて善玉菌を増やし、良い腸内環境づくりにつながるということです。
ちなみに、生後間もない赤ちゃんは、ほぼ無菌状態といわれるお母さんのお腹の中から細菌が多く生息する外界に出るため、当初は腸内でも悪玉菌が生息しやすい状態になっています。
けれども、ラクトフェリンが多く含まれる母乳を飲むことで善玉菌の数が増え、腸内環境が良くなるといわれています。
4.ラクトフェリンの上手な摂り方
お伝えしたように、ラクトフェリンはヒトの母乳や牛乳などに含まれています。
そのため、市販されている牛乳などに多く含まれるように思われがちですが、ラクトフェリンには熱に弱いという特徴があって、製造の過程で加熱処理された乳製品には、ほとんど含まれていないのです。
乳製品の中でも加熱処理が行われない一部のナチュラルチーズに含まれていることもありますが、その量はごく微量です。
そこで開発されたのが、ラクトフェリンの作用を保つように加工されたラクトフェリン入りのヨーグルトやサプリメントなどです。
とくにヨーグルトは、コンビニやスーパーなどでも手軽に購入することができます。
ラクトフェリンを積極的に摂りたい方は、ヨーグルトのパッケージを確認し、「ラクトフェリン」などと記載があるものを選ぶと良いでしょう。
腸内環境を良くしたい場合には、ビフィズス菌などの善玉菌も一緒に含有されている製品を選ぶことをおすすめします。
また、最近ではヨーグルトを自分で作る「自家製ヨーグルト」なども流行っていますね。
ラクトフェリン入りのヨーグルトなどを使うことで、自家製のラクトフェリン入りヨーグルトを作ることもできるので、興味のある方は試してみると良いでしょう。
今のところ、ラクトフェリンをたくさん摂った場合の影響については明らかになっていませんが、サプリメントで摂る場合には、用法用量を守って飲むようにしましょう。
なお、腸内環境を良くしたい場合には、ラクトフェリンだけを摂っていればよい、ということではありません。
善玉菌を含むヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品、また、善玉菌のエサとなるオリゴ糖を含む食品(バナナやごぼうなど)、水溶性食物繊維を多く含む食品(果物、オクラ、海藻類など)も一緒に摂ることで、腸内環境の改善につながるでしょう。
※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:管理栄養士 山本ともよ ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
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この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 管理栄養士(121)
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