【管理栄養士が解説!】関節痛にはアミノ酸が良い理由
1.はじめに
関節痛は年齢とともに多くの方が悩む症状のひとつです。
「年だから仕方がない」と思われがちですが、日々の過ごし方によって予防したり、痛みを緩和することができます。
食生活も関係する要素のひとつですが、そのうちアミノ酸が深く関わることをご存知でしょうか。
その関係を解説していきます。
2.関節痛はなぜ起こる?
関節痛の原因を知る前に、関節の構造からお話します。
関節とは骨と骨をつなぐ構造で、肩や肘、指、股、膝、足首など全身に数多く存在します。
骨はとても硬い組織であるため、骨同士が直接くっつくと、摩擦で磨り減ってしまい、柔軟な動きができません。そうならないために、関節は軟骨という構造でつながれています。
軟骨は約8割が水分で、関節に加わる衝撃を吸収するクッションの役割を果たし、動きを滑らかにしています。
さらに、「関節包(かんせつほう)」という袋状の組織で覆われていて、その内側に滑膜(かつまく)という膜があります。
滑膜からは関節液が分泌されて栄養補給がなされています。
この関節の構造を外側から支える筋肉をつなぐ組織が靭帯です。
関節痛は、関節に関わる組織に何らかの障害や機能低下が起こったときに起こりますが、その原因はさまざまです。
●加齢
関節のクッションとなる関節液の産生能力が低下したり、長年重なる負担によって軟骨部分がすり減ることで起こります。
●激しいスポーツ
関節に大きな負荷のかかるスポーツをしていると、通常以上にすり減りが進んでしまいます。
●生活習慣
食生活の乱れによって関節部位の産生能力が落ちたり、運動不足による筋力の低下が起こると、体重を支えられずにその重みが関節に負荷をかけます。
●病気
次の病気は関節に痛みが生じる病気の一例です。

●関節リュウマチ
関節部位の組織が炎症を起こし、動かなくなり痛みが出る

●痛風
生活習慣の乱れによって尿酸という成分が異常に多くなるとそれが関節にたまり痛みを伴う
ほかに風邪などの感染症でも、ウイルスから身体を守る「サイトカイン」という物質が過剰に分泌されると関節に痛みを引き起こすことがあります。
生活習慣は自らの行動によって進行を予防することができます。
このうち、食生活や栄養について詳しくみていきましょう。
3.関節の構造を維持するのに重要なアミノ酸
クッション部分である軟骨成分は日々体内で作られています。
軟骨成分は次の3つで構成されています。
①.軟骨細胞
軟骨の中に血管は通っていません。
そこで軟骨細胞が組織液を通して酸素や栄養素を送り、不要物を排出しています。
②.プロテオグリカン
コンドロイチン、ヒアルロン酸などの構造が結合した保水性の高い高分子体です。
③.Ⅱ型コラーゲン
網の目状になり、軟骨の骨組みを作っています。
アミノ酸は、全ての組織に含まれています。
とくに、土台となるコラーゲンは重要です。
アミノ酸を摂取することでコラーゲンが生成され、関節痛を予防するだけでなく、すり減った軟骨を補修し、関節痛を改善することができると言われています。
4.アミノ酸をどのように摂ったらいい?
コラーゲンの構成成分となるアミノ酸を摂るためにはどうしたら良いでしょうか?
コラーゲンを構成するアミノ酸は、グリシン、プロリン、ヒドロシキプロリンなどです。
食品で、これらのアミノ酸単体を含む食品はありません。
どれも、体内で合成されるアミノ酸であり、それを合成するためには、糖質や良質なたんぱく質が必要です。

●糖質
ご飯やパン、麺類、イモ類やトウモロコシ、砂糖、はちみつなど。

●良質なたんぱく質
摂るべきアミノ酸を満遍なく含むたんぱく質。
肉や魚、卵、乳製品などの動物性たんぱく質のこと。
さらに、コラーゲンを生成する過程では、ビタミンCや葉酸などのビタミンが必要です。これらは、野菜や果物に含まれます。
つまり、主食とメインのおかず、サブのおかずをそろえたバランスの良い食事を心がけることが大切です。
最近では、サプリメントなどの栄養補助食品で特定の栄養素を補うことができます。
その場合には、バランスの良い食事を心がけた上で、9種類の必須アミノ酸が全て摂れるものや、グリシン、プロリン、ビタミンCなどが摂れるものを選びましょう。
★管理栄養士が解説!アミノ酸サプリの選び方★
5.関節の負担軽減することも大切
軟骨成分を補っても、関節に負担がかかりすぎると痛みは軽減されません。
肥満の解消や関節を支える筋肉を維持するために、適度な運動が必要です。
ただし、痛みが強い、腫れている、熱を持っているという場合には無理に動かすことは禁物です。
痛みが出る前の早いうちから負担の軽減や栄養補給を意識し、痛みが出た場合には、痛みに応じた生活習慣の改善を実践しましょう。
※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:管理栄養士 山本ともよ ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
株式会社とらうべ所属
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山本ともよ

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この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 管理栄養士(121)
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