【保健師が伝授!】痛くなる前に!「関節」に良いこと、悪いこと
この記事の執筆専門家
保健師 吉村佑奈 (株式会社とらうべ)
株式会社 とらうべ 社員。つい先日まで、病院で看護をしていて、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当。
※本記事は、保健師の方に執筆いただいたものを健康チョキンにて編集しております。
1.はじめに
年を重ねるにつれてひざなどの関節痛に悩まされるようになった、という人はいませんか?
その原因はあなたの生活習慣にあるかもしれません。
関節痛を改善したいと思っている人、また、まだ痛みはないけど予防した人のために、どのような習慣が関節痛に影響を与えうるのか、解説します。
2.生活習慣と関節痛
関節の痛みに悩まされる人は、決して少なくありません。
厚生労働省の「平成28年国民生活基礎調査」の中で、病気やけがなどで自覚症状がある人にその原因を尋ねたところ、「手足の関節が痛む」と答えた人数は、男性では5番目、女性では3番目に多いという結果になりました。
手足の関節に痛みが現れる原因としては、関節リウマチなど病気による場合もありますが、加齢などにともなって起こる「変形性関節症」もよく見られます。
とくに、ひざ関節の痛みを訴える人が最も多いといわれています。
変形性関節症の原因としては、関節軟骨の弾力性が老化によって失われることや、ケガの後遺症などが挙げられますが、生活習慣に関わるものとして肥満も大きく影響します。
肥満とは、BMI(体格指数)=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))が25以上の場合を指します。

●肥満とは
BMI(体格指数)=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))が25以上の場合
ヒトは加齢によって関節軟骨の弾力性が減ってくるため、骨と骨が触れ合って痛みが出やすい状態になります。
ここに重い体重が加わることで、より痛みが起きやすい状態が作られてしまいます。
肥満は、食事や運動などの生活習慣と密接に関係していますから、関節痛を予防する上でこれらの習慣を見直すことは重要な要素といえます。
では、関節痛を起こさないために具体的にどのようなことに気をつければよいのでしょうか?
次から、関節によって良いこと・悪いことを紹介していきます。
3.関節に良いこと
●体重をコントロールする
お伝えしたように、肥満は関節痛の大きな原因となります。
そのため、健康診断などで「肥満」と指摘されている人は、減量を心がけましょう。
ただし、急に激しい運動を始めると、かえって関節に負担をかけ、痛みの原因となります。
まずは、水中ウォーキングなど関節への負担が少ない運動から始めるようにしましょう。
また、食生活では腹八分目を心がけたり、よく噛んで食べるなどの習慣をつけ、食べすぎに気をつけましょう。
●食事の内容を見直す
食事の仕方はもちろん、内容を見直すことも重要です。
バランスの良い食事を心がけ、とくに筋肉や関節軟骨のもとになるたんぱく質をしっかり摂ることは、関節痛を予防する上で重要です。
また、グルコサミンやコンドロイチンなどの成分は、関節軟骨の弾力を保つことに役立つとして注目されています。
食事をしっかりと摂った上で、これらの栄養素が摂れるサプリメントなどを活用するのも方法のひとつです。
●筋肉をつけるための体操を行う
たとえ肥満に該当しなくても、筋肉がしっかりついていないと関節に負担をかける原因となります。
とくに太ももの前側にある「大腿四頭筋(だいたいよんとうきん)」を鍛えると良いといわれています。
仰向けに寝て、片脚を床から10cmほど上げてキープする脚上げ体操や、椅子などに腰掛けて片脚を上げた状態で5秒間キープするといった体操を行うと、太ももの筋肉を鍛えることができます。
●ひざ関節の血流を良くする
ひざ関節が冷え、血流が悪くなることも関節痛の原因となります。
サポーターをつけたり、湯舟にしっかり浸かるなどしてひざ関節の冷えを予防しましょう。
4.関節に悪いこと
●運動不足である
運動不足は、肥満の原因になるだけでなく、筋肉の衰えにもつながるため、関節痛の原因となります。
一度関節に痛みが生じてしまうと、なかなか運動も思うようにできなくなるもの。
まだ痛みがない人も今のうちに運動の習慣をつけておくことが将来の元気な生活につながります。
●O脚である
まっすぐに立った時に両脚にアルファベット「O」のような隙間ができるO脚。
O脚の人は、関節の内側に負担がかかっていることから、関節痛を起こしやすいといわれています。
日常生活では、片方の脚に重心をかけたり、脚を組む癖があると、O脚になりやすくなるので、ふだんから正しい姿勢を意識するようにしましょう。
また、O脚の矯正を受けるのも良いでしょう。
●痛みがあるのに放置している
すでに症状があるにもかかわらず放っておくと、悪化してしまい、手術などが必要になる場合があります。
変形性膝関節症の初期症状は、立ち上がったり歩き始めたときの痛みです。
この痛みは自然に消えていくため、つい放置されがちですが、何度もこのような症状がある場合には病院で相談しましょう。
老化によって起こりやすくなる関節痛ですが、日常生活を見直すことで関節痛の発症や悪化を予防することができます。ふだんの生活習慣を見直し、痛みのない、生き生きとした生活を送りたいものですね。
※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:保健師 吉村佑奈 株式会社 とらうべ 社員。つい先日まで、病院で看護をしていて、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当。 ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
〈参考〉
・国立長寿医療センター「高齢者の関節疾患」
http://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/hospitalletter42.pdf
・日本整形外科学会「変形性膝関節症」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/knee_osteoarthritis.html
・サントリー「生活習慣の改善で『ひざ関節の痛みを予防!』」
https://health.suntory.co.jp/professor/vol2/
・厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査の概要」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/16.pdf
この記事を読んだ方はこの4つの記事も読んでいます!

吉村由奈

最新記事 by 吉村由奈 (全て見る)
- 【保健師が解説!】便(うんち)が硬い!出ない!その原因って?今日から出来る改善方法! - 2018年1月31日
- 【保健師が伝授!】痛くなる前に!「関節」に良いこと、悪いこと - 2017年12月25日
- 【保健師が伝授!】自分で治そう!ちょっとした身体の不調 - 2017年12月22日
この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 保健師(25)
- 健康チョキンTOP
- ≫ 悩み・症状から原因と改善策を知る
- ≫ 関節痛
- ≫ 【保健師が伝授!】痛くなる前に!「関節」に良いこと、悪いこと