【骨粗鬆症】を予防するにはどうすればいいの?
目次
1.はじめに
「高齢者がなるもの」と捉えられがちな骨粗鬆症。
しかし、骨の強さは一生をかけて日々変わっていきます。
骨粗鬆症の予防のためには、若いうちからコツコツ取り組むことがとても重要なのです。
2.骨粗鬆症とはどんな病気?
骨粗鬆症は「骨密度」や「脆弱性骨折の有無」で診断します。

●骨密度:骨のもろさ
●脆弱性骨折:大きな力が骨に加わったわけでもないのに生じた骨折
つまり、骨粗鬆症は「骨がもろく、折れやすい状態の病気」ということです。
骨が減ってもろくなっていくのには、骨の新陳代謝が関わっています。
骨の新陳代謝とは、新しい骨が作られ(骨形成)、古い骨は壊される(骨吸収)ということです。
この新陳代謝のバランスが崩れ、骨吸収のスピードの方が進むと、骨の量は減っていきます。
骨吸収のスピードが速まる大きな要因は、カルシウムやビタミンD不足、女性ホルモンであるエストロゲン量の低下です。
弱くなった骨は、とくに手首などの前腕、背骨、足の付け根部分で骨折が起こりやすくなります。
2.骨粗鬆症の要因、要注意な人や生活習慣とは?
骨粗鬆症は、男性よりも女性に多く、高齢になるほど増える病気です。
とくに、女性は閉経後に注意です。
そのほか、以下のような人も注意が必要です。
- やせている(BMIが18.5未満)
- 若い頃よりも身長が縮んできた
- 自分の両親に脚の付け根を骨折した人がいる
- 経口ステロイド薬を長期的(3ヶ月ほど)に使用している、これから使用する予定(3ヶ月ほど)がある
- 関節リウマチがある
- 甲状腺機能低下症、糖尿病など骨粗鬆症を症状とする病気がある
- 脚の付け根の骨密度が低い
- 喫煙している
- 1日に3単位以上のアルコール摂取がある(1単位の目安:ビール500ml、日本酒1合、ワイン180ml、缶酎ハイ520ml)
3.骨粗鬆症の予防のための食事のポイント
強い骨のためには、次のようなものを意識的に摂るようにしましょう。
●強い骨のために摂るべき食材
カルシウム | 牛乳・乳製品、こまつ菜、チンゲン菜、大豆製品、小魚や干しエビ |
ビタミンD | 魚類(イワシ、サンマ、ブリ、鮭、しらすなど)、キノコやきくらげ、卵 |
ビタミンK | 納豆、ほうれん草、キャベツ、ブロッコリー、ニラ、モロヘイヤ |
マグネシウム | マグロ、カツオ、あさり、牡蠣、ひじき、くるみ |
ほかに気をつけたいこととして、塩分過多にならないこと、インスタント食品やファストフードなどに多く含まれるリン酸塩を控えること、バランス良くいろいろな食品から栄養素を摂ることが挙げられます。
4.骨粗鬆症の予防のための運動ポイント
骨に負荷がかかるような運動を習慣的に行うことが骨粗鬆症の予防に効果的だといわれています。
たとえば、水泳よりウォーキング、ウォーキングより小走りやジャンプの方が負荷は高まります。
また、「続ける」ことがとても重要です。最初からハードな運動をする必要はありませんが、続けているうちに少し強度の高い運動もできるようになってくるでしょう。
時間がとれない人は、生活のなかで身体を使う工夫をしましょう。
- エレベーターやエスカレーターに頼るのではなく、なるべく階段を利用する
- しゃがむ・立ち上がる動作をするときには腰を折り曲げるのではなく、膝を曲げて腰を落とす(しっかりと太ももを使う)
- 電車やバスなどはなるべく立つ、さらに少し片足を浮かせて片足立ちをする(つり革や手すりにつかまって安全を確保する)
5.骨粗鬆症の予防はいつから始めるべき?
最近では、骨はカルシウムを蓄えておく場所として考え、さまざまなライフステージで「貯骨」をする、先手の予防策が意識されるようになっています。
「貯骨」をより意識したいのは以下のような時期です。
●赤ちゃんと授乳期の女性
赤ちゃんは骨になるための栄養を母乳から得ています。
母乳を作り出すのにはおよそ1日に250mgのカルシウムが必要です。
母親が栄養不足だと、母親自身の身体に蓄積したカルシウムがどんどん使われていくことになります。
●出生~20歳頃まで
性別にかかわらず、骨の量は20歳頃までにピークを迎えます(ピークボーンマス)。
この骨の成長時期に運動習慣があることは、より骨量を増やすことにつながります。
●初経の時期
女性は、初経から3年ほどはとくに急激に骨量が増えることがわかっています。
ですから、このころに無理なダイエットをすることは不適切です。
また、不適切なダイエットにより無月経になることもあります。
無月経はエストロゲンの分泌にも影響するため、骨の成長スピードも落ちてしまいます。
●更年期
更年期になると、女性ホルモンであるエストロゲンの量が減ります。
エストロゲンが増えることで骨形成よりも骨吸収が進み、骨が減るスピードが速まることになります。
6.最後に
骨粗鬆症の予防は骨量が最大になる頃までにいかに骨量を増やすことができるか、また、その後の骨の減少をいかに緩やかにできるかということが最大のポイントです。
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※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:助産師 保健師 看護師 座波朝香 ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
株式会社とらうべ所属
〈参考〉
・「知って得する 骨粗鬆症の予防と 治療ガイドライン Q&A 2011年版」
http://minds4.jcqhc.or.jp/minds/op/osteoporosis_guideline_Q&A.pdf
・「骨粗鬆症の 予防と治療ガイドライン 2015 年版 - 日本骨粗鬆症学会」
http://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf
・「第53回日本周産期・新生児医学会 教育講演1:妊娠とビタミンD欠乏(2016.6)」
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座波朝香

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この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 保健師(25)
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