【管理栄養士が解説】妊活中・妊婦の方へ!どうして葉酸が必要なの?
1.はじめに…
「妊活中や妊娠中は葉酸を摂取した方がよい」という話を聞いたことはありますか?
妊活をしている人や妊婦さんの中には、「葉酸が必要みたいだけど、どうして?」「赤ちゃんは欲しいけど、そこまでする必要ある?」など疑問を持っている方もいるかもしれません。
そこで、とくに妊活中の女性や妊婦さんに向けて、葉酸が必要な理由をお話しします。
2.葉酸と妊娠の関係
葉酸にはいくつかの働きがありますが、その中に細胞内の核酸を合成する働きや細胞分裂を促す働きがあります。
これらは、お腹の赤ちゃんが成長する上で欠かせない役割です。
とくに妊娠初期は重要な臓器が作られる時期で、細胞分裂も活発に行われています。
この時期の葉酸不足は、胎児が神経管閉鎖障害(無脳症や二分脊椎症)を発症するリスクを高める一因になることから、妊活中や妊娠初期の女性には、サプリメントなどで葉酸を付加的に摂取することが推奨されています。
とはいえ、ふだんサプリメントを飲んでいない人の中には、妊活中や妊娠初期の敏感な時期にサプリメントを摂ることに抵抗感がある方もいるかもしれません。
しかし、神経管閉鎖障害のリスクを減らすためには、食事から摂れる天然の葉酸(ポリグルタミン酸型)だけでなく、サプリメントなど加工食品に含まれる合成葉酸(モノグルタミン酸型)も摂る必要があります。
サプリメントは食品のひとつであり、薬ではありません。
用法・用量を守って飲んでいれば、女性の身体やお腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼすことはないので、過度に心配する必要はないでしょう。

妊娠初期の葉酸不足は、胎児が神経管閉鎖障害(無脳症や二分脊椎症)を発症するリスクを高める一因になることから、妊活中や妊娠初期の女性には、サプリメントなどで葉酸を付加的に摂取することが推奨されています。
3.妊活中の女性も葉酸が必要?その理由と摂取量について
ここまで読んで、「妊娠中に葉酸が必要なのはわかったけど、妊活中も摂った方がいいの?」と疑問を持った方もいることでしょう。
日本では、前回の月経開始日を妊娠0週と数えるため、正常な月経周期であれば、妊娠2週目ころに妊娠が成立(受精)することになります。
けれども、一般的にこの時期に妊娠を知ることはできません。
多くの母親が「妊娠したかも?」と思うのは、月経が遅れ始めてから、つまり、妊娠4~5週目以降です。
また、病院などで妊娠を判断できるのも、エコー検査で胎嚢(赤ちゃんが入っている袋)が確認できる妊娠5週目以降です。
でも、この時期にはお腹の赤ちゃんの成長はすでに始まっていますから、葉酸を付加的に摂取しておくことが理想的なのです。

妊娠を気づく時よりも前からお腹の赤ちゃんの成長はすでに始まっているため、葉酸を付加的に摂取するのが理想的。
4.妊娠中の葉酸の摂り方
妊娠中は、時期によって葉酸の摂り方が異なります。
●妊娠中
妊娠がわかってから出産までは、お腹の中の赤ちゃんの発育と赤ちゃんを守るお母さんの健康を維持するため、ふだんよりも多くの葉酸が必要になります。
妊娠をしていない成人の推奨量である240μgに加えて、食事から240μgを摂るようにしましょう(合計480μg)。
●妊娠3ヶ月まで
妊娠初期(妊娠3ヶ月まで)は赤ちゃんの重要な臓器が作られるため、食事からの摂取(480μg)に加えて、サプリメントで400μg摂るようにしましょう。
●サプリメントを購入する上での注意点
現在市販されている葉酸サプリメントは、合成葉酸400μgが含有されているものが多いですが、中には合成葉酸でないものや、摂取量が少ないものもあります。
そのため、事前に確認してから、購入するようにしましょう。
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また、体内で葉酸を効率よく働かせるためには、ビタミンB6やビタミンB12、ビタミンCが必要ですから、これらも含まれているものが望ましいでしょう。
なお、葉酸は水溶性のビタミンで、摂りすぎても尿として排出されるため、基本的には過剰摂取による問題はありません。
しかし、サプリメントであまりにも大量に摂取した場合、ビタミンB12欠乏症の発見を遅らせる、じんましんやかゆみなどの症状が現れる(葉酸過敏症)などの恐れもあります。
そのため、必ず用法用量を守って摂取するようにしてください。
5.最後に
サプリメントでの摂取方法についてもお伝えしましたが、食事からの摂取が基本であることも忘れてはいけません。
葉酸は、ほうれん草やブロッコリー、アスパラガス、いちご、夏みかん、レバー(妊娠初期は胎児奇形のリスクがあるので、避けること)、納豆などに含まれています。
これらの食品を食事に取り入れることで、葉酸だけでなく、多くの栄養素を摂取することができます。
とくに妊娠中は、葉酸を含め、さまざまな栄養素をバランスよく摂ることが大切です。
「葉酸サプリを飲んでおけば大丈夫」などと思わず、妊活や妊娠を、食生活を見直す機会にしてみてくださいね。
※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:管理栄養士 山本ともよ ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
株式会社とらうべ所属
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山本ともよ

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この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 管理栄養士(121)
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