【管理栄養士が解説!】妊婦さんもラクトフェリンは摂るべき?
この記事の執筆専門家
管理栄養士 山本ともよ (株式会社とらうべ)
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中。
※本記事は、管理栄養士の方に執筆いただいたものを健康チョキンにて編集しております。
1.はじめに
妊娠中は、自分の身体だけではなく赤ちゃんの成長のためにも、健康的な身体を維持したい時期です。
一方で、つわりや嗜好の変化などで栄養のバランスが乱れやすかったり、便秘、乾燥など、不調を引き起こしやすい身体の変化が起こっています。
健康維持に働くと言われているラクトフェリンですが、妊婦さんも摂るべきなのでしょうか。
妊婦さんとラクトフェリンの関係を解説していきます。
2.ラクトフェリンとはどんなもの?
ラクトフェリンは、哺乳類の母乳に多く含まれるたんぱく質の一種です。
鉄と結合しやすい性質が特徴で、鉄が引き抜かれた環境では細菌が住みにくくなるため、その作用により「抗菌作用」「抗炎症作用」「免疫力を高める」「歯周病の予防」「腸内環境を整える」などの働きをします。
身体の機能が未熟な赤ちゃんを細菌から守り、健康を維持するのに役立ちます。
体内で合成される成分ですが、食品では、牛の母乳である生乳に含まれ、乳製品から取り入れることができます。
しかし、熱に弱い性質を持ち、多くの乳製品は加熱殺菌することから、ほとんど分解されてしまいます。
低温殺菌の牛乳、搾りたての牛乳、ナチュラルチーズなど加熱をしない乳製品であっても、含まれる量はわずかです。
そのため、最近では様々な乳製品にラクトフェリンを人工的に添加した製品やサプリメントが売られています。
3.妊娠さんがラクトフェリンを摂るメリットとは?
妊娠中には、非妊娠時とは異なるさまざまな身体の変化が起こります。ゆい1215
その中で、ラクトフェリンを摂るメリットはあるのでしょうか。
ラクトフェリンの作用のうち、次の3点がメリットとして考えられます。
①.抗菌作用、抗炎症作用、免疫力を高める
妊娠中は、風邪薬や胃腸薬、痛み止めなどの内服薬は、飲むことができるものが制限されます。
風邪をひいても簡単に薬を飲むことができないため、治りが遅くなったり、重症化しやすくなります。
そのため、風邪をひかないための対策は重要です。
生活習慣を整えて強い身体を作ることやマスク、うがい、手洗いなどの予防を日々行いましょう。
そのうちのひとつとして、ラクトフェリンを摂ることもひとつの対策と言えます。
②.腸内環境を整える
妊娠期は病院に行く機会が多く、身体の異常をチェックする機会も増える一方で、治療が必要とならないまでも不調「マイナートラブル」が多くおこります。
マイナートラブルはホルモンの変化や子宮の増大による子宮の周囲にある臓器への負荷が要因となります。
マイナートラブルで起こりがちなのが便秘です。
プロゲステロンは胃腸の運動を鈍くさせたり、体内に水分を蓄える働きをするので、便に水分が不足して、便秘を起こしてしまいます。
また、つわりによる栄養不足や子宮が腸を圧迫して蠕動(ぜんどう)運動が抑えられてしまうなど、さまざまな要因で便秘につながるのです。
このような変化は仕方がないのですが、だからこそ、妊娠中に腸内環境を整えておくことはとても大切です。
バランスのいい食事や規則正しい生活リズムに加えて、善玉菌である乳酸菌やビフィズス菌、食物繊維やオリゴ糖などを積極的に摂るといいでしょう。
また、ラクトフェリンを摂ることも腸内環境を整える働きがあります。
③.歯周病の予防
妊娠中には、とくに口腔ケアも重要になります。
ホルモンの影響で唾液が出にくくなり、口腔内の細菌が繁殖しやすくなります。
また、つわりで歯磨き粉やマウスウォッシュが使えないという方もいます。
その結果、虫歯や歯周病などが起こりやすくなります。
歯周病とは、歯周病菌が繁殖する病気ですが、歯周病菌は歯だけではなく全身に影響を及ぼし、早産のリスクを高めるといわれています。
ですから、妊娠中の口腔ケアはとても重要です。
毎日の歯磨きや歯科検診と一緒に、歯周病予防にラクトフェリンを摂るのもいいでしょう。
4.摂るときの注意点
妊婦さんがラクトフェリンを摂る際には注意すべき点があります。
●生ものには注意!
ラクトフェリンは熱に弱いため、食品では、加熱殺菌されていないナチュラルチーズや搾りたての牛乳などから摂ることになります。
しかし、妊娠中に生ものを摂ることは、できるだけ避けた方がいいのです。
その理由はリステリア菌感染の可能性です。
リステリア菌は、健康な大人では問題ありませんが、妊娠中は免疫力が低くなっているため、感染しやすく注意が必要です。
リステリア菌感染が発症する頻度は統計的にはまれですが、感染してしまうと、流産や早産、赤ちゃんの敗血症や髄膜炎など重症化する恐れがあります。
●サプリメントは用法容量を守る
サプリメントは錠剤の形などもありますが、薬ではなく食品です。
ラクトフェリンはとくに安全性が確かめられており、妊婦さんでも問題ないとされています。
しかし、安全な成分でも過剰摂取は禁物です。
容量用法は守り利用しましょう。
妊娠中の健康管理にラクトフェリンを取り入れることは有効です。
ただし、摂り方のポイントをおさえ、バランスのいい食事の中に取り入れるように心がけましょう。
※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:管理栄養士 山本ともよ ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
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山本ともよ

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この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 管理栄養士(121)
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