保健師が解説【とにかく眠い!】寝ても寝てもとれない眠気!原因って何?対策は?
この記事の執筆専門家
保健師 吉村佑奈 (株式会社とらうべ)
株式会社 とらうべ 社員。つい先日まで、病院で看護をしていて、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当。
※本記事は、保健師の方に執筆いただいたものを健康チョキンにて編集しております。
1.はじめに
寝ても寝てもとにかく眠い!沢山眠っているはずなのに、寝た気がしない…。
こんな経験はありませんか?
寝た気がしないと、疲れもとれませんよね。
寝ても寝ても眠い原因とその解決策を詳しく解説します。
2.寝ても取れない眠気!その原因は?
●生活習慣によるもの
7時間くらい寝ているのに十分な睡眠が取れていないと感じてしまうのは、毎日のちょっとした習慣のせいで、睡眠の質が低下しているのかもしれません。
① .夜型の生活
ついついゲーム等に熱中しすぎて徹夜してしまい、昼に寝る、なんてことはありませんか?
本来明るい時間に活動して、暗くなって寝るというというのが、人間の生活リズムです。
そのリズムが乱れてしまうことで、睡眠の質が下がり、起きているときでも眠気を感じます。
夜に仕事をしている人や、交代勤務などで毎日の睡眠時間が不規則な場合も、同じようにリズムの乱れが起こってしまいます。
②.寝る前にお酒を飲む
アルコールは一時的に体温を上げて眠気を誘うため「寝つきがいい」と寝酒をする人も少なくありません。
しかし、アルコールには脳を覚醒させる働きがあるので、眠りが浅くなり、睡眠の質を下げてしまいます。
③.仕事や人間関係など、何かとストレスを感じる
過度なストレスは自律神経の働きを乱します。
自律神経は身体のさまざまな働きを調節している神経で、活動モードにする交感神経と休息モードにする副交感神経によってオンオフが調節されています。
ストレスがかかると、ストレスと戦おう!と交感神経が活発になり、本来休息する時間でも活動モードのままになってしまいます。
そうすると、寝ていても体内は活動モードのままとなって、睡眠の質を下げてしまいます。
④.休日に寝だめしている
今日は休みだから、疲れたから、眠いから、といって寝だめすることはありませんか?
1日中寝ていると「寝すぎ」による害がでます。
睡眠時間を長く取り過ぎると、普段の睡眠のリズムが崩れてしまい、そのあとの睡眠を浅くして、睡眠の質を下げてしまいます。
●病気によるもの
夜更かしもしないし、毎日の生活リズムもしっかりしているはずなのに、寝ても寝ても眠い!
そんな方は、もしかして病気の可能性も…?
①.睡眠時無呼吸症候群
睡眠時に、息がとまっている状態が断続的に起きる状態です。
息が吸えずに、酸素が普段通り体内に入ってこないので、酸素を全身に回すために、身体は心臓を活発に動かして、脈拍数を上げます。
そうすると、眠っているつもりでも、身体には大変な負担がかかり、十分に睡眠が取れていない状態になっているのですが 、本人は自覚がなく、日中に眠気に襲われます。
②.むずむず脚症候群
その名のとおり、脚がむずむずして、横になったりじっとしたときに起こりやすく、夕方から夜にかけて悪化する傾向で、入眠や熟睡を妨げます。
③.過眠症
日中に耐えられないほどの眠気が起こる病気で、主に2種類に分けられます。

●ナルコレプシー
脳にある睡眠と覚醒のコントロールセンターに障害がおきたものです。
覚醒の指令を出すところが機能しなくなっていて、覚醒命令が出ないため、日中も眠気を感じるようになってしまいます。

●特発性過眠症・反復性過眠症
原因は不明ですが、突発的に過度な眠気に襲われます。
④.自律神経失調症
脳が不安やストレスを感じることにより、呼吸器や消化器などの様々な活動を司っている自律神経が乱れ、全身にさまざまな不調が表れます。
睡眠障害も、自律神経失調症の症状のひとつです。
3.原因別!寝ても取れない眠気への対策は?
●生活習慣によるもの
日中の眠気を抑えるには、睡眠の質を高めることが大切です。
眠い時の対処だけでなく、生活習慣を改善して眠気を起こさないように対策しましょう。
①.夜型の生活 の対策
ついつい寝るのが遅くなってしまう…という方、まずは、早起きしてみましょう。
いつもよりも1時間か2時間早く起き、太陽の光を浴びましょう。体内時計がリセットされます。
また、パソコンやスマホから出ているブルーライトは、光が強いです。
横になってから寝る前にちょっと、といじっていると、光が強いため活動の時間だと脳が間違えてしまい、寝る態勢に入れません。
せめて寝る30分以上前からスマホはいじらないようにしましょう。
もし眠れなくても、寝室は暗くして眠る環境を整えましょう。
寝る2時間前くらいに入浴して身体を温めると眠りやすくなります。
もし、夜間勤務などで外との生活リズムが合わせられない場合には、自分の生活リズムで構いませんので、就寝と起床、食事時間を規則的にしましょう。
②.寝る前にお酒を飲む の対策
寝る前のお酒やカフェインを多く含むコーヒーや栄養ドリンクなどは、出来るだけ控えましょう。
代わりに、白湯や温かいお茶、ホットミルクなどにし変えてみてください。
適度に身体を温め良い睡眠につながります。
とはいえ、飲み会などでお酒を飲んだ時はどうすれば良いの?と思いますよね!
そういう時はそのまま寝てしまわず、サッとシャワーを浴びましょう。
アルコールの代謝が良くなるので、朝の目覚めのスッキリ感に繋がります!
③.仕事や人間関係など、何かとストレスを感じる の対策
人は誰でもストレスを感じています。
好きなスポーツや音楽鑑賞、映画鑑賞などの趣味を持ったり、生活の中で入浴や食事時間をゆっくり摂ることなど、自分なりのストレス発散法を見つけましょう!
仕事は仕事、遊ぶときは遊ぶ!寝る時は寝る!と、オンオフの区別をつけることも、ストレスを溜め込まないことに繋がります。
④.休日に寝だめしている の対策
眠いからと休日に寝だめしたりすることは、逆効果になってしまいます。
できるだけ、平日と同じ時間に起きて活動をしましょう。
その際に、朝起きたら太陽の光を浴び、朝食を摂りましょう。
いつものリズムを崩さないことが重要です。
●病気によるもの
自分の症状が、病気によるものの原因に当てはまった方は、要注意です!
①.睡眠時無呼吸症候群 対策
軽度の場合は、マウスピースを付けることや、枕を替えるだけでも改善します。
改善しない場合、睡眠外来などはもちろん、内科(呼吸器・循環器)や耳鼻咽喉科などで、専門医に相談して、自分にあった方法をとりましょう。
②.むずむず脚症候群 対策
アルコールは、悪化させるので控えてください。
またカフェインの取り過ぎは、症状を悪化させる場合がありますので、取り過ぎに注意です。1日2杯程度にとどめましょう。
喫煙も出来るだけ制限しましょう。
脚をマッサージする、足踏みする、歩いたり、擦ったりすることが症状を軽くするといわれます。
治らない場合には、神経内科、または精神科にかかり、医師とよく相談しましょう。
③.過眠症 対策
過眠症は原因や発症のメカニズムなどは、まだ完全には解明されていません。
うつ病等が絡んでいるという説もあります。
しっかり7時間以上寝ているし、生活リズムもしっかりしているのに、例えば友達と会話していて、突然寝てしまったりと、明らかに日常生活でも支障をきたしている場合は、精神科や、心療内科等の専門医の受診をおすすめします。
④.自律神経失調症 対策
自律神経失調症は、一人一人症状が違い、原因もまた一人一人違います。
原因も1つではなく複雑に絡み合っているといわれています。
バランスのとれた食事を毎日3食決まった時間に摂る、しっかり日光を浴びてウォーキング等軽めの運動をする、しっかり7時間睡眠をとる、といった、規則正しい生活を心がけましょう。
無理せずに不安な場合は、精神科や、心療内科等の専門医の受診しましょう。
4.どうしても眠いときの対処法
色々気をつけたけど…やっぱり眠い!
そんな、日中に強い眠気に襲われたときの対処法をご紹介します。
- 仮眠をとる
眠いときには思い切って昼間でも眠りましょう。
お昼休みの時間等をつかって、15分くらいの仮眠をとるとスッキリします。
ただし、1~2時間以上長時間寝てしまうと、倦怠感や本来の睡眠時間に眠りが浅くなってしまうことにつながります。
- 身体を動かす
じっとしていると余計に眠気は強くなります。
屋外で新鮮な空気を吸う、深呼吸をする、ストレッチをする、顔を洗うなど身体を動かしましょう。
仕事中や授業中などの場合は、トイレに立つなどしてみましょう。
- 飲食をする
カフェインを含むコーヒーやドリンク、覚醒作用があるのおすすめです。
ただし、カフェインを摂り過ぎると夜に眠りづらくなる場合があります。
カフェインの反応には個人差がありますが、「眠い時の1杯」で留めておきましょう。
また、「噛む」、という行為は脳を刺激する作用があるので、ガムなどは眠気覚ましになります。
5.最後に
なお、生活リズムを整えても改善しない場合や、眠気が強く耐えられない、眠気以外に消化器症状(胃が痛い、むかむかするなど)や倦怠感などの身体症状がある場合には、無理せずに、受診をしましょう。
※この記事を執筆いただいた専門家の方
執筆:保健師 吉村佑奈
株式会社 とらうべ 社員。つい先日まで、病院で看護をしていて、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当。
ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。
※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。