【イライラ、ピクピクは危険信号?!】情緒不安定の原因って?
1.はじめに
「イライラ」は、思いどおりにならないとか不快なことがあって神経が高ぶるさま、「ピクピク」は小刻みに震え動くさまで、「ほおがピクピクとひきつる」といった用例があります。
このように、イライラもピクピクも、情緒不安定状態という、こころが落ち着かない状態に陥っていることを指しています。どうしてこういうことが起こるのでしょうか?
2.イライラやキレることの多い現代人
最近、あなた自身も周囲にも、イライラしたり、場合によってはキレてしまうことは増えていませんか?
香山リカさん(精神科医)は次のように述べています。
「最近、こちらからきく前に、患者さんの側から『こうなんです』とある表現が頻繁に語られるようになった。それは、『イライラ』である。」「イライラだけなら、まだその人の心の中にとどまっている。しかし、それがさらに高じると、もはや心の中でおさめておくことができなくなり、不快な表情、舌打ちから、暴言、ついには暴力にいたる。それが、“キレる”だ。」
引用:
香山リカ『キレる大人はなぜ増えた』朝日新書、2008
これは心療内科の診療現場のことですが、日常生活全般でもイライラがそこここで見られます。
「電車内のマナーの悪さに」「待ち合わせ時間にいつも遅れてくるカレに」「部下がとろくて」「いうことを聞かない子どもに」などです。
同じように、暴言や暴力といった行為(専門的にはアクト・アウトと呼ばれます)に出ることが「キレる」ことです。
「突然、電車の中で怒鳴る」「執拗にクレーム電話をかけ続ける」「ハラスメントやDV(ドメスティック・バイオレンス)をする」などが極端な例です。

●日常のイライラ
・電車内のマナーの悪さに
・待ち合わせ時間にいつも遅れてくるカレに
・部下がとろくて
・いうことを聞かない子どもに

●キレる
・突然、電車の中で怒鳴る
・執拗にクレーム電話をかけ続ける
・ハラスメントやDV(ドメスティック・バイオレンス)をする
3.ストレスからくる情緒不安定
イライラしたりキレたりすることが増えたのはどうしてなのでしょうか?
環境や社会の側に原因がある場合と、人に原因がある場合とが考えられます。
環境や社会の側の原因としては「ストレス」が挙げられます。
さまざまな不快を与えるもの、たとえば、騒音、猛暑、ほこり、イヤな臭い、病原体、精神的な苦痛、体調不良や病気、厳しすぎるルール、満員の通勤電車、迷惑メール、キャッチセールスなどが挙げられます。
こうしたストレスを与えるものを「ストレッサー」と呼びます。
日常的・慢性的にストレッサーに刺激され続けていると、イライラ・ピクピクすることが多くなっていきます。
4.脳科学でわかってきたこと
一方、ある刺激がストレッサーになるときとそうでない場合があります。
たとえば、歌手は人前で歌うことにワクワクするでしょうが、内気な人にとって人前で歌うことはストレス以外の何ものでもないでしょう。
このように、その人の側にイライラ・ピクピクする原因が考えられる場合もあります。
そして最近、脳の働きを解明している脳科学でわかってきたことがあります。
人間の脳で、情緒や感情に深くかかわっているのは、「偏桃体(へんとうたい)」と呼ばれる部位です。
偏桃体は、恐怖感・不安・悲しみ・喜び・価値判断・情動処理などに関与しています。
電気的に偏桃体を刺激すると怒りや恐怖が起こります。
反対に、偏桃体を損傷すると驚きや恐怖がわかなくなってしまいます。
また、不快なできごとがあってストレス状態が長く続くと、偏桃体は過剰に働いてストレスホルモンを長時間分泌させ、神経細胞を萎縮して、うつ状態を生み出すきっかけとなったりします。
つまり、ちょっとしたことにイライラしたりピクピクしてしまうのは、偏桃体が過敏に反応するようになっているからといえるのです。
5.アンガーマネジメント
イライラなどが生じた時、キレることなく振るまっていく方法に「アンガーマネジメント」があります。
「怒りを効果的に鎮める方法」として、アンガーマネジメントのプロセスは次のようなものです。
- 怒っている状態から注意をそらす
気分転換・気晴らし・腹式呼吸などがおすすめです。
- 客観的に原因や状況を再評価する
どうしてイライラしたり怒ったりしたのか、その時なにが起こっていたのか、理性的にふりかえる。いいかえれば、冷静に見つめるということです。
- 話をする
イライラしたり怒ったりした経験を誰かに話してみる。そして感想を言ってもらう。
こうしたコミュニケーションによって、次に同じような場面に置かれたときに、イライラしなくなったり、キレないような対処法を学ぶことができたりします。
6.生活習慣の整備
情報化や都市化が進みストレスが多い現代社会では、たとえば、海外旅行をしたりお酒を飲んで気分転換をすることもよいのですが、基本的にはストレスに強い心身をつくることが大切です。
ちょっとしたことにイライラしたりキレたりしないようにしておくということです。
そのために、上に挙げたようなアンガ-マネジメントも有効ですが、基本的な生活習慣を整えておくことはとても大切なことです。
充分な睡眠・休養、バランスがとれた食生活、適度な運動習慣が日常化されていると、イライラ・ピクピクすることが少なくなる心身のしなやかさが身につけられることでしょう。

●ストレスに強い心身つくり
・充分な睡眠
・休養
・バランスの摂れた食事
・適度な運動
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※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:保健師 藤尾 薫子 ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
株式会社とらうべ所属
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藤尾薫子

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この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 保健師(25)
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