【管理栄養士が暴露!】内臓脂肪とラクトフェリンの関係に迫る!
この記事の執筆専門家
管理栄養士 山本ともよ (株式会社とらうべ)
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中。
※本記事は、管理栄養士の方に執筆いただいたものを健康チョキンにて編集しております。
1.はじめに
体脂肪はつきやすいのに、落とすときは、そう簡単にはいきません。
ダイエットをした経験のある人は、「簡単に脂肪を減らせることができれば・・・」と考えたことがあるのではないでしょうか?
そんなとき「脂肪に効果的」とされる成分には魅力を感じます。
ラクトフェリンも内臓脂肪を低減するとして注目されている成分ですが、実際にはどうなのでしょうか?
2.内臓脂肪とは?
体脂肪には、「内臓脂肪」と「皮下脂肪」の2種類があります。
ふたつに共通してエネルギーを貯蔵する、体内の組織を守る、体温を保つという重要な働きがあります。
一方で、違う面も持ち、内臓脂肪は内臓のまわりの腸間膜(ちょうかんまく)に溜まり、つまむことはできません。
おなかポッコリのいわゆる「リンゴ型肥満」の状態です。
日々のエネルギー源を速やかに供給したり貯蓄したりすることができます。
つまり、つきやすく落ちやすいということが内臓脂肪の特徴です。
体脂肪が過度に溜まった状態を「肥満」と言います。
「肥満は万病のもと」と言いますが、とくに内臓脂肪が過度に溜まると身体に悪影響を与えるホルモンを出して生活習慣病などの疾患に深く関係するため、より積極的な解消が必要です。
3.内臓脂肪型肥満の基準
脂肪は必ずしも悪者ではなく、過剰であることが問題です。
そのため、減らす必要があるかどうか、内臓脂肪型肥満の基準を参考にチェックしてみましょう。
- ウエスト周囲径(腹囲):男性で85cm以上、女性で90cm以上
- CTスキャンによる内臓脂肪面積:100㎠以上
- 脂肪量の変化:20歳のころに比べて体重が10キロ以上増えている
これらにひとつでもあてはまる場合には、対策を取ることが必要です。
4.ラクトフェリンが内臓脂肪に働きかけるメカニズム
ライオン株式会社の研究において、ラクトフェリンが内臓脂肪に働きかける効果とメカニズムが発表されています。
出典:British Journal of Nutrition 2010 Dec;104,1688–1695
腹部肥満傾向の健康な成人男女を対象に、無作為に分けた2つのグループに、ラクトフェリンが入っている錠剤と入っていない錠剤を1日3錠ずつ8週間摂取してもらい、その後、内臓脂肪の断面積と体重を測定しました。
その結果、ラクトフェリンを摂ったグループは摂っていないグループと比べて、平均で内臓脂肪の断面積は-12.8㎠、体重は-2.5㎏/㎡の低減が見られたということです。
この結果と一緒に、ラクトフェリンが内臓脂肪を減らす2つのメカニズムが報告されています。
①.脂肪の分解を促す
エネルギーが不足すると、脂肪分解酵素であるリパーゼによって脂肪が分解され、全身にエネルギーを供給します。
このエネルギー源のひとつにグリセロールがあります。
ラットによる試験で、脂肪細胞にラクトフェリンを5段階の濃度で添加し、生成されるグリセロール量を測定したところ、濃度が高まるほどグリセロール生成量も増加しました。
このことから、ラクトフェリンに脂肪の分解を促す作用があるとされています。
また、脂肪はペリリピンという脂肪の分解を抑えるたんぱく質にコーティングされ、リパーゼから脂肪細胞を守っているのです。
ラクトフェリンはペリリピン量を減らすため、脂肪が分解されやすくなると考えられています。
②.脂肪の合成を抑制する
遺伝子研究において、ラクトフェリンが脂肪合成に働く酵素群に関わる遺伝子発現を抑えたり、脂肪細胞の増殖に関わる物質を抑えます。
5.内臓脂肪を減らす方法
ここまで、ラクトフェリンが内臓脂肪を減らすということについてお伝えしてきました。
内臓脂肪を減らしたいからラクトフェリンを飲もう!と思った方もいらっしゃるでしょう。
効果を実感するためには、知っておかなければいけないことがあります。
それは、ラクトフェリンを飲むだけでは痩せないということです。
確かに、研究の結果からは内臓脂肪やBMIの低減が認められました。
しかし、ラクトフェリンが脂肪分解を促したり、蓄積を抑えるように働いても、それ以上にエネルギーの摂り過ぎやエネルギー消費不足があれば、効果を実感することはできません。
内臓脂肪を減らすためにおさえたい生活習慣のポイントは次のとおりです。
●記録をする
体重や体脂肪を測り記録をしましょう。
毎日の数字の変化に一喜一憂する必要はありません。
1ヶ月くらいの記録を振り返り、減少傾向になっているかを見ていきましょう。
●食生活の見直し
食べすぎが内臓脂肪蓄積につながるのですが、ただ減らすだけでは栄養不足になってしまいます。
1日3回、主食・メインのおかず・サブのおかずはそろえるようにし、まずは夕食の量を見直していくといいでしょう。
特定の食品を抜くのではなく、量を見直すことが優先です。
間食が多い時には控えることも大切です。
●適度な運動
1日30分程度息が弾むくらいの強度で歩くことを心がけましょう。
それに加え、1週間で2時間は汗がにじむ程度の運動をするといいでしょう。
●質の良い睡眠
睡眠不足は食欲をコントロールするホルモンに影響を与えたり、食事時間を乱すことにつながります。
生活習慣を改善しながら、さらに効果的に脂肪に働きかけるためにラクトフェリンを取り入れるようにしましょう。
※この記事を執筆いただいた専門家の方 執筆:管理栄養士 山本ともよ ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。 ※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。
株式会社とらうべ所属
〈参考〉
・ライオン ラクトフェリンの内臓脂肪低減効果
http://www.jsbba.or.jp/wp-content/uploads/file/award/2012/award_2012JSBBAAATR_lion.pdf
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山本ともよ

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この記事の執筆監修者の保有資格・企画 : 管理栄養士(121)
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