【保健師が解説!】最近白髪が増えてきた...原因と対策は?
この記事の執筆専門家
保健師 吉村佑奈 (株式会社とらうべ)
株式会社 とらうべ 社員。つい先日まで、病院で看護をしていて、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当。
※本記事は、保健師の方に執筆いただいたものを健康チョキンにて編集しております。
1. はじめに
白髪は、人によって違いはあっても、年齢とともに増えてくるものです。
増え始めたころは、とても気になるのではないでしょうか。
意外と知られていない白髪が増える原因や、白髪がなぜできるのか、白髪を増やさない方法について詳しく解説していきます。
2. 白髪が生えるメカニズム
「歳をとると黒髪が勝手に白髪になる」と思っている方も多いかと思いますが、実はそうではありません。
髪の毛が黒く生えるのには、2つの異なる細胞が関係しています。

①毛母細胞
- 髪の毛を作る細胞です。
髪の毛の根っこの部分にあり、栄養を受け取って、細胞分裂して、増殖して、髪の毛を作り出しています。

②色素細胞
- 色素幹細胞によって作られます。
アメーバのように分裂して、際限なく自分と同じ細胞を増殖できます。
色素幹細胞から作れた色素細胞は、黒色の素である、メラニン色素を作ります。
髪の毛がつくられた瞬間の毛母細胞は「白色」です。
アメーバのように分裂して、際限なく自分と同じ細胞を増殖できます。
色素細胞で作られたメラニン色素が毛母細胞に着色することで黒髪ができます。
白髪になるケースは、主に2つ考えられます。
- 毛母細胞が色素細胞を受け入れなくて黒髪にできなかった場合
何らかの病気で高熱が出た際や、薬の副作用などにより、毛母細胞が色素細胞のメラニン色素を受け入れなくなってしまう場合があります。
- 色素細胞に不具合が起こり、メラニン色素を作れなかった場合
メラニン色素は「チロシン」という物質からできています。
このチロシンは、私たちが普段生活する上で欠かせない、自律神経を働かせる「甲状腺ホルモン」の材料にもなっています。
例えば苦労が重なったり、仕事などのストレスにさらされると、自立神経が乱れ、それを立て直そうと甲状腺ホルモンの分泌も多くなります。
その結果、チロシンがたくさん使われ、メラニン色素を作る前に枯れてしまうことがあります。
3. 白髪ができる原因
メカニズムがわかったところで、白髪ができる原因を紹介していきます。
1.加齢
加齢により色素幹細胞の「自身を増殖する力」に対して「メラニン色素を生成する力」が追いつかなくなってしまい、白髪ができると考えられています。
2.紫外線
紫外線は毛母細胞にダメージを与え、メラニン色素を取り込めなくするので、白髪が増えます。
3.栄養不足
メラニン色素を作りだすために必要な栄養素が不足することも、白髪ができやすい原因になります。
毎日カップラーメンやコンビニ弁当などで野菜が不足し栄養バランスが乱れたり、過度なダイエットなどで食事量が不足することも栄養不足の原因になります。
4.ストレス
仕事に忙殺されている、人間関係のトラブルなどが、白髪の原因になります。
ただし、髪が短い期間に白髪に変わるわけではありません。
ストレスがかかると細胞を酸化させる活性酸素が多量に発生します。
通常、活性酵素は体内のウイルスを除去するという役割を担っています。
しかし、増えすぎると自分の細胞を攻撃し、傷つけるようになります。
活性酵素が髪の黒い成分を作るメラノサイト(メラニン生成細胞)を攻撃することにより、メラニン色素が正常に作られなくなり白髪ができてしまいます。
また、ストレスは自律神経のバランスを乱します。
強いストレスがかかると身体を戦闘態勢に働かせる交感神経が優位になります。
そうすると、血管収縮が促され、細胞に栄養素がいきづらくなります。
また、パソコンやスマホの画面から受けるブルーライトは、脳に刺激を与えてしまい、脳が疲労します。
睡眠障害を起こすこと、使用時の姿勢の悪さから、疲労にもつながります。
4. 白髪を予防する方法と対策
白髪ができる原因に対して対策を立てて実行すると、白髪を予防することができます。
先述の白髪の原因ごとに、具体策を紹介していきます。
1. 加齢への対策
年齢とともに白髪になっていくのは、自然なことといえます。
しかし、睡眠など生活習慣の改善によって進行を遅らせることができます。
- 睡眠
規則正しい生活が基本です。睡眠をきちんとりましょう。
良質な睡眠は、色素細胞を活性化させます。
できれば22時には布団に入り、7時間くらいが理想的です。
良質な睡眠のためには、寝室は真っ暗にする、枕は自分にあったものをする、マットは、柔らかすぎないものを選ぶ、などに考慮してください。
- 頭皮マッサージ
頭皮マッサージを行うことも、白髪予防になります。
各部位に対して、以下のような方法がオススメです。

◯後頭部
後頭部頭の後ろ側から頭のてっぺんに向かって、手のひらや指で、円を描くようにマッサージする。

◯側頭部
こめかみを4本の指で押さえ、円を描くようにマッサージし、つむじに向かって後ろ側へ指を動かしていく。

◯前頭部
おでこを4本の指で円を描きながらマッサージして、つむじに向かって上がっていく。
- ヘッドスパ
美容院などで、ヘッドスパをやってもらってもいいでしょう。
頭皮のツボやマッサージ、皮脂汚れをオイルで除去、など頭皮ケアを行ってくれます。
- ヘアカラー
白髪になると、どうしてもヘアカラーを行いたくなりますが、ヘアカラーにも種類があります。
自分に合った方法を選ぶようにしましょう。

◯白髪染め
黒髪も白髪も一緒に染める。
髪や頭皮に負担が大きい。

◯ヘナ
白髪に薄く色が付く。
染めるのに時間がかかるが、天然の素材なので頭皮に負担がかかりにくい。

◯香草
ヘナよりは染まりはよい。
化学染料が少し入っているが比較的頭皮や髪にやさしい。

◯ケアマニキュア
髪の表面に色を付けるだけなので、頭皮や髪の毛にはダメージがないが、色落ちが早い。
2.紫外線への対策
日傘や帽子を利用して直接紫外線を浴びないようにしましょう。
日差しの強い夏場は日差しをよけようと考えますが、1年のうちに一番紫外線が強いのは5~7月です。
また、晴れた日だけではなく、曇っている日でも紫外線は降り注いでいますので、しっかり対策をしましょう。
3. 栄養不足への対策
三食しっかりと主菜副菜等のバランスの良い食事を摂ることが基本です。
特に気をつけて摂ると良い栄養素と、それが多く含まれる食材を挙げていきます。

◯チロシンを多く含む食材
- メラニン色素の原料になります。
チーズ、バナナ、アボカド、カツオ、マグロ、ナッツ類 など

◯銅を多く含む食材
- メラニン色素を作る酵素「チロシナーゼ」の働きを活性化させます。
納豆、カシューナッツ、ニンニク、蕎麦、玄米、エビ など

◯ヨウ素を多く含む食材
メラニン色素を作るホルモンを合成するのに必要です。
昆布、ワカメ、ヒジキ、海苔、イワシ、カツオ、ブリ など
「白米を玄米にする」「サラダに海苔やパルメザンチーズをかける」「間食にナッツを食べる」など、白髪対策に働く食品を食生活に取り入れることは意外と簡単です。ぜひ試してみてください。
4. ストレスへの対策
自分なりのストレスを解消する方法を持っておくといいでしょう。
身体を動かしたり、趣味や興味のあることに時間を使い、オンオフをつけるようにしましょう。
また、パソコンやスマホなどを全く使用しない日を作ったり、30分~1時間早く寝床に入る、などをしてみてもいいでしょう。
ゆっくりとした入浴時間を作るなど、余裕のある時間を過ごしてみましょう。
5. 最後に
白髪が生え始めた人もまだ生えていない人も、日ごろの過ごし方で白髪が増えるのを予防しましょう。
※この記事を執筆いただいた専門家の方
執筆:保健師 吉村佑奈
株式会社 とらうべ 社員。つい先日まで、病院で看護をしていて、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当。
ヘルスケアに関するサービス、マーケティング支援やコンテンツ発信などを事業として展開。医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの専門家により、 医療・健康に関連する情報について、信頼性を確認・検証するサービスを提供している。
※執筆内容についてはあくまで一般論に関してであり、具体的症状についての説明や診断を行うものではありません。また、執筆者は本サイト上またはリンク先等におけるいかなる個別商品、特定商品の効果保証、購入推薦・推奨などをするものではありません。